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更年期の強い味方!アンチエイジング検査とは? 河村優子医学博士 インタビュー【第6回】 

 

 

更年期治療を行う際には、女性ホルモンの分泌量だけでなく、栄養素の不足などの体内の状態も確認しておくと、最適な治療を受けることができます。食事を見直すことで改善できることも少なくありません。その上でホルモン補充を行えば、効果が出やすく、補充量も少なくて済む場合もあります。

第6回は、渋谷セントラルクリニック院長の河村優子先生にアンチエイジング検査に関してお話しを伺います。

 

 

──アンチエイジング検査とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?

 

私たちのクリニックの『アンチエイジング検査』は、ホルモン検査、分子整合栄養検査、酸化ストレス検査、糖化ストレス検査を行っています。

更年期の辛い症状を緩和する治療のひとつとして、女性ホルモンを補充する方法があります。しかし、女性ホルモンを補充するにはリスクも伴います。アンチエイジングクリニックなどのホルモン補充療法は、実は女性ホルモンだけでなく成長ホルモンや副腎から出ているマザーホルモンのDHEAを補充することもできます。

ホルモン検査では、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロン、男性ホルモンのテストステロン、DHEAなどを調べます。不足しているホルモンやホルモンバランスが分かるのです。

「乳がんや婦人科系のがんリスクを高めるのであれば補充したくない」という方は、成長ホルモンやDHEAなどの他のホルモンを補充してバランスを取ったり、不足している栄養素を補ったりすることで、更年期の不調が改善に向かうこともあります。

 

──ホルモン補充が最も効果的な対処法という印象ですが、注意点などはありますか?

 

ホルモン補充療法は効果があるからこそ慎重に行う必要があります。例えば、無理な食事制限ダイエットをすると、甲状腺ホルモンが低くなることがあります。体が悲鳴をあげているから自動的に甲状腺が低くなって、代謝を抑えているのです。栄養が不足しているのに代謝だけを上げると、骨粗鬆症が進んだり、体力が消耗したりします。このような方は甲状腺ホルモンが低いからといって、ホルモン補充すべきではないのです。「冷えます、疲れやすいです、髪の毛が薄くなってきたんです」という症状に悩んでいるのであれば、まずは食事を見直すところから始めるべきなのです。

また、更年期によくある『プチうつ』のような症状がある方が、総合的な検査を受けてみたら、実は副腎疲労だったということもあります。

 

──なるほど。総合的な検査によって対処法が明確になることはありますね。

 

男性でテストステロンの数値が低い方には亜鉛を処方することがあるのですが、その際にも分子整合栄養検査の数値をチェックから行っています。

また、胃酸の分泌もチェックします。確かに万人が食べたほうが体に良いものはありますが、胃酸が出ていない人は何を食べても効果が望めませんし、細胞の代謝の悪い人が何のサプリを飲んでも効果が望めません。細胞の中の栄養素と、エネルギーが作られる量をチェックして、代謝の状況を確認しています。尿検査で、体内有害物質の残留量をみます。体内有害物質が体内に蓄積されると、代謝が悪くなるのです。女性ホルモンも男性ホルモンも正常値に近いのに、成長ホルモンだけ低い方もいます。そういう方は、体内に有害物質が蓄積されている可能性があります。

では、代謝を良くするにはどうしたらいいのかというと、心肺機能を高める。

 

──心肺機能を高めるために、川村先生が指導されていることなどありますでしょうか?

 

有酸素運動が有効です。しかし、『プチうつ』で、そもそもそこまで辿り着けない方もいるのです。総合的な検査でセロトニンなどの神経伝達物質が不足している場合もはっきりと数値で分かるようになりましたので、運動できない方には神経伝達物質の元になるようなサプリメントをお出ししています。

「むくみに悩んでいます」という方は、肝臓や腎臓をチェックし、栄養素的にもタンパク質やアルブミンが足りているか、数値を確認します。このような栄養素が体内に無ければ、むくむのは当然なのです。またお酒の飲み過ぎや海外のサプリを飲んだことで、肝臓に異常があれば、具合が悪くなります。

 

 

 

 

──自分は胃酸が正常に出ているのか、代謝が悪いのかを分かっていないと、無駄な努力をしてしまうことがあるのですね。

 

ご自分の体の状態を分かって飲む分には良いのですが、闇雲に薬を飲むと時間とお金の無駄になることがあります。自分にあったサプリをピンポイントに飲んで、ベースは普段の食事を取ると良いと思います。

医師は必ず抗がん作用のあるビタミン剤を一緒に出しています。患者さんは、ついでにビタミン剤を飲まされているように思うかもしれませんが、ビタミンAとビタミンDを飲むことは実はとても重要なポイントなのです。

 

──なるべく薬は飲みたくないので、「ビタミン剤は何のためにも飲むのですか?」とお医者様に聞いた時に「バランス調整のためです。」と言われたので、飲まなくても大丈夫かなと思っていましたが、大切な役割があるのですね。

 

先生によって考え方はいろいろあると思います。ストレスが高いから抗酸化力のあるビタミンを飲んでくださいという場合もあると思いますが、それはそれでいいと思います。

ホルモン補充するとがんのリスクは上がりますから、なるべくリスクは低くなる方が良いですよね。

がんは遺伝は20%、80%は後天性のものと言われています。ビタミン剤と合わせつつ、ライフスタイルの見直しをしていくことが大切です。

 

がんになりやすい生活習慣は、

1,ストレスをためやすい

2,甘いものを食べ過ぎる、

3お酒・タバコ

4,添加物・保存料を多く摂取している

こういうものが良くないと言われています。

 

アンチエイジング検査では、ストレス検査も行っています。

糖化ストレスは体の焦げ付きです。糖化ストレスの検査は、皮膚を通して糖化物質をチェックします。糖化物質が多ければ多いほど、がんや病気になりやすく、老化しやすく、太りやすいし、良いこと一つもありません。食べ物で云うと、甘いものを過度に食べたり、焦げたものを食べると、糖化ストレス度が上がると言われています。

酸化ストレスは体の中の錆つき。お酒・タバコ・添加物・保存料をたくさん取っている人が検査をすると、酸化ストレス度が高くなります。これだけでなく、腸内環境も大きく影響します。日本人は乳糖不耐症の人が多いですので、乳製品を取ると下痢になる人が多いのです。私は乳製品をとっても大丈夫という方もいますが、お酒を沢山の飲んだ翌日には便が緩くなる場合があります。

 

──お酒を飲んだ翌日に下痢をする人は気をつけた方がいいということですね。

 

お酒を飲んで赤くなる人は、食道がんになる確率が赤くならない人に比べて6倍高いと言われています。アトピーの人も同じです。TNF-αという物質がよくないのです。腸内環境の浸透圧が高くなって下痢を引き起こしてしまうのです。リュウマチや膠原病などの自己免疫疾患にも、影響があると言われています。

加圧トレーニングは、実はこれを抑えます。日本ではまだ研究している人が少ないのですが、アメリカのハーバードや西海岸のUCLAでは研究している人が多くいます。

私たちのクリニックのスタジオでも加圧トレーニングを行っていますが、手をうまく動かせない方や元気のない方が週3回加圧トレーニングをするとすごく調子が良くなります。

 

──更年期で元気のないプチうつの方にも効果があるのですか?

 

もちろんです。運動がうつに良いと言われている理由はいろいろあります。加圧トレーニングを行うと、元気の源の成長ホルモンが分泌されるためかもしれませんし、ハッピー脳内神経伝達物質のセロトニンが分泌されるからかもしれません。または、体の炎症物質を抑えるからかもしれません。

私たちのクリニックの原点は、この「いかに炎症を抑えるようにするか」ということでした。私たちが炎症を抑えるのに効果的だと考えているのは、ビタミンAとビタミンDです。

ビタミンDは、私たちのクリニックの血液検査でどのくらい不足しているのかを調べます。

ビタミンDが十分に足りていれば、大腸がんになるリスクが減ると言われています。私がもし一つだけサプリメントを摂らなければならないとしたら、絶対にビタミンDを選びます!

ビタミンDが不足している人は、元気がなかったり、アトピー性皮膚炎だったり、皮膚の病気を抱えたりしている人が多いですね。日照時間の短い北欧の人は子供の頃からビタミンDを摂っています。

更年期で女性ホルモンが少なくなってくると、骨粗鬆症になりやすくなります。ビタミンDが不足しているとより骨粗鬆症が進みやすくなります。カルシウムだけを一生懸命摂るようにしても、一緒にビタミンDも摂取しないとダメなのです。

リュウマチや膠原病にも関係があります。

 

──日常の中でビタミンDを摂るとしたら、何を食べればいいのでしょうか?

 

しいたけ、きくらげ、魚のアンコウが多いと言われていますが、いくらもないので、サプリメントで補充するといいと思います。

 

──日光に当たるのも、効果があるのでしょうか?

 

あります。アトピーっぽいという赤ちゃんに日光浴をさせると、肌がつるつるになったという例が何件もあるのです。

確かに紫外線は肌へのダメージがありますが、ある程度日光に当たることも大切なのです。朝起きて、日の光を浴びながら伸びをするのが、オススメです。

痩せたい時にも、ビタミンDは糖代謝する時に必要ですし、筋肉を作る時にも必要ですので、大事なんですよ。

風邪をひきやすい方や花粉症に悩んでいる方も、ビタミンDが不足しているかもしれません。ビタミンDを補充すると、花粉症が楽になるという方も多いのです。

 

 

 

 

──更年期には、女性ホルモンが減ることでシワやシミになりやすくなる事もありますよね。

 

気になるようでしたら、ビタミンDのサプリを飲むといいと思います。

食事で補充しようとしても、なかなか難しいですから。

そして何よりも、ビタミンDには抗がん作用があります。そして、女性ホルモンのプロゲステロンを作るのにも必要なのです。

 

──更年期で、プロゲステロンが減った方にも必要なのですね。

 

その通りです。更年期の方にとって、ビタミンDは重要な栄養素です。なぜならば、筋肉を作るのに必要ですし、骨粗鬆症になりにくくしてくれるのですから。またホルモン治療した際にも、がん発症を抑える働きもしてくれます。

更年期の方だけでなく、老若男女にとって、大切な栄養素なのです。

総合的な検査では、代謝に関しても診ます。甲状腺昨日の値が低いかだけでなく、チラージンが効果を発揮できるように変化できるかもチェックします。

チラージンが効果を発揮できるように変化しない方は、ビタミンやミネラル不足が考えられます。または、かなり無駄な脂肪を溜め込んでいるなど身体に問題があり認識が悪くなっている場合もあります。

甲状腺に関わる全ての値が低い場合は、原材料となる栄養素の不足が考えられます。甲状腺は、ビタミンアがカロチンに変化して、甲状腺の材料になります。甲状腺ホルモンの働きを高めたい人は、ビタミンAを摂らなくてはいけないのです。

ビタミンAはそのほかにも、炎症を抑え、湿粘膜を保護し、成長ホルモンの酸性化を抑制、細胞の分裂を促す栄養素です。

 

──更年期は粘膜の乾燥も大きなお悩みの一つですから、積極的に摂るべき栄養素なんですね。

 

まさにそうです。肌の乾燥や、ドライアイに悩まれる方もいます。ビタミンAが配合された目薬もありますよね。

ビタミンBやCも大切なのですが、水溶性ですので毎日摂取しないとダメなのです。ビタミンA、D、E、Kは脂溶性ですので、摂りすぎはよくありませんが、ある程度ストックできるのです。

ビタミンBが不足しているかどうかは、総合的な検査では、肝臓の数値を見ます。ビタミンBが不足すると、肌トラブルが起きたり、イライラしたり、肩こりが起こります。またホルモンの合成に必要です。豚肉やうなぎなどのタンパク質やナッツ類に含まれています。

 

──年齢を重ねると、タンパク質の摂取量が減ってきてしまう傾向がありますので、良くないのですね。

 

肉はあまり食べたくないという方は、胃酸が出ているか、ピロリ菌はいないかをきちんと調べます。胃酸が出ているかはとても重要です。

胃もたれすると言う方は、内視鏡検査をする事もお勧めしていますが。

腎臓の働きも尿窒素の値で分かります。たんぱく質の値もチェックして、総合的に腎臓の働きと、摂取したほうが良い栄養素をアドバイスします。

 

──総合的な検査は項目が70位あるので多いように感じていましたが、多角的に判断するには、必要なんですね。

 

全部、必要な項目なんです。

貧血も鉄の数値と貯蔵鉄の数値を合わせて見て、鉄分だけでなくマグネシウムを摂るべきなのかを判断しています。

 

 

 

 

──そこまでチェックしないと分からないのですね。総合的な検査をして、自分の体を知ることが大切ですね。

 

総合的な検査を行うことで、ホルモン不足だけでなく食事や生活習慣の問題点もはっきりと目に見える数値で出てきます。無駄な時間や労力を使わずに、更年期の症状を軽減していくことができるのです。

 

──貴重なお話をしてくださり、ありがとうございました。

 

更年期ケアとして女性ホルモン補充はよく知られていますが、人の身体の構造式に合ったナチュラルホルモン補充療法はまだ日本ではあまり知られていません。安全性と効果が報告されているナチュラルホルモン療法は、これから日本でも、もっとメジャーな更年期ケアになっていくのではないかと思いました。

更年期をうまく乗り切るには、ホルモン補充療法だけでなく、ホルモンバランスや栄養バランスを整え、ストレスの少ない生活をして行くことも大切。総合的な検査を受けることで、自分の現在の状態を知り効果的に更年期ケアへと導いてくれます。

100歳まで生きる時代に近づいてきた今、更年期は自分の体をきちんと把握し生活習慣を見直す絶好のチャンスなのかもしれません。

 

文:北川りさ イラスト:町田李句

 

 

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編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE
河村 優子

河村 優子

河村優子 医学博士
渋谷セントラルクリニック院長。日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本レーザー医学会認定医、特定認定再生医療等委員会 委員、FTP認定マットピラティスインストラクター、日本女性医学会会員、加圧トレーニング特定資格指導者/日本キレーション治療普及協会認定医。患者の目線に根差したフレンドリーな診療が評判。

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