人生100年時代を楽しむ、大人の生き方 Magazine

仏像と近代絵画の名品がずらり!!美術館で旅する伊豆半島と、美しき風景。

 

 

伊豆半島は、火山が生んだ大地を大小の河川や海が長い時をかけて刻み、複雑で美しい地形を作り上げた地。

変化に富む地形は、人々の多様な営みを生み、地域ごとに特色ある歴史を紡ぎだしてきた。

今回開催する、仏教館特別展「伊豆半島仏像めぐり」では、伊豆に存在する7つの市と6つの町からそれぞれ1点ずつ仏像を選び、展示する。

時代は平安時代から江戸時代まで、大きさも選ばれた基準もさまざまだが、それぞれ各地の人々の信仰を集め、護り伝えられてきた貴重な文化財。

13市町代表の仏像から、それぞれの土地の魅力を感じとっていただきたい。

 

 

 

 

展覧会の見どころ

【仏教館】

伊豆半島仏像めぐり 

―伊豆13市町の仏たち―

魅力的な仏像、久々の寺外公開!

 

 

伊豆の国市・北條寺からは、鎌倉後期~南北朝時代につくられた≪観音菩薩坐像≫(静岡県指定文化財)を公開。

本像は片足を踏み下げ、くつろいだ姿と女性的でどこか妖艶な姿が印象的なお像で、中国・宋~元時代の影響を強く受けた仏像。

東京国立博物館、MOA美術館、遠くイタリアでと、何度も展示されてきた伊豆を代表する美しい仏像ですが、今回14年ぶりの寺外公開が実現。

 

 

 

三島市からは光安寺の≪地蔵菩薩坐像≫(市指定文化財)を展示。

鎌倉時代の等身大の像で、自ら牛の鼻緒を引いて水田の代掻きを手伝い、農家を助けたと伝えられ、「鼻取り地蔵」の愛称で知られる伝説の仏像。

本像の寺外での公開は27年ぶり。

 

 

伊豆半島の魅力再発見!個性あふれる仏たち

 

 

伊豆半島を構成する13の市町には、それぞれの歴史があり、個性的な信仰や文化が今に伝えられている。

本展で初公開される東伊豆町・個人蔵の≪野嵜(のざき)牛(うしの)助家(すけいえ)次(つぐ)像≫は、従来知られてこなかった伊豆東海岸の戦国武士の面影を今に伝える江戸時代の傑作。

また南伊豆町・青龍寺の≪阿弥陀如来像≫は、手石弥陀窟(国天然記念物)の上に建てられた今は失われたお堂の本尊。

手石弥陀窟は海に開口した洞窟で、洞内を小舟で進むと、闇の中に光り輝く阿弥陀三尊の姿が浮かぶといい、江戸時代には大変な人気スポットとして遠く江戸の町にまでその名が知られていた。

弥陀窟にまつわる本像は像高15cmほどの小像ながら精緻な作りで、江戸の町で活躍した江戸仏師による力作。

 

 

当館の調査で見出された新発見の仏像を公開!

 

 

沼津市赤野観音堂の天部立像は、秘仏本尊・十一面観音立像を守る仏像。両腕や右足を失う姿ながら、当館の調査で、写実的で力強い作風から鎌倉時代の貴重な仏像と判明。

今回が初公開となる。また伊豆市・修禅寺の伝観音菩薩坐像は、当館の調査で、伊豆では作例が知られていなかった院派仏師が制作した仏像であることが判明した。

 

 

【近代館】

画家たちの旅 

-梅原龍三郎、牛島憲之、ルノワールが見た風景-

新収蔵の牛島憲之≪夕月富士≫初公開

 

 

牛島憲之≪夕月富士≫(1987年)は2018年度、当館で新たに収蔵した作品の一つで、本展で初公開となる。

山中湖の夕暮れの富士を描いたこの作品は、牛島が87歳のときに描いたもの。

牛島は歳を取るほど豊かな芸術を生み出しましたが、人生の旅路の後半に近づきつつも、これほど美しい風景画を描き出すその力に圧倒される。

また牛島は伊豆・下田に別荘を構え、度々この地を訪れた。

82歳の時に描いた≪雨明かる≫(1982年)は下田の白浜・板戸海岸で描いた風景で、柔らかに光る雨上がりの海面を見事にとらえている。

本展では、下田周辺を捉えたスケッチブックも展示する予定。

 

 

梅原龍三郎、安井曽太郎らの旅の風景

 

 

梅原龍三郎は1939(昭和14)年に北京を訪ね、その美しさに魅了された。

日記には「四方の眺め美しく誠に夢の國なり」、「北京の四十二日夢の如し」と記されており、後に「これまでの人生の中でも一番張りのある時であったと思っている」というほど、そこでの制作は充実していた。

戦後、大きく改変された北京の街並みだが、緑豊かな≪北京長安街≫(1939年)の風景を見ると、旅先で出会った画家の新鮮な感動が甦るよう。

また、ヨーロッパは画家たちの憧れの地でもあった。

20歳で渡欧した安井曽太郎は、はじめピサロやミレーなどに学びながら、次第にセザンヌへと傾倒し、「何を見てもセザンヌのやうに見えるので困りました」と後に述べるほど大きな影響を受けた。

その様子は安井が渡欧期に描いた≪小高き丘≫(1913年)にも見ることができる。

 

 

ルノワール≪アルジャントゥイユの橋≫など印象派の旅も紹介

 

 

第2展示室では、フランスの画家たちの旅に焦点を当てる。

≪アルジャントゥイユの橋≫(1873年)はルノワールが32歳で描いた作品。

当時、友人の画家モネは、パリから鉄道で約20分のアルジャントゥイユに暮らしていた。

ルノワールは度々ここを訪ね、ともに制作を重た。

この絵に描かれた鉄道は1851年に完成したばかり、当時アルジャントゥイユは日帰りのレジャー地として人気を集めていた。

煙を吐きながら鉄橋を渡る機関車には、当時の旅の様子が垣間見える。

関連資料として、19世紀後半に発行されたフランスのガイドブックも展示する。

 

 

【展覧会概要】

展覧会名

【仏教館】 特別展「伊豆半島仏像めぐり-伊豆13市町の仏たち-」

【近代館】 企画展「画家たちの旅-梅原龍三郎、牛島憲之、ルノワールが見た風景-」

 

会期:2019年4月6日(土)~6月30日(日)86日間

時間:9時–17時(最終入館は16時30分まで)

会場:上原美術館 仏教館・近代館 〒413-0715 静岡県下田市宇土金341

料金:一般1,000円/学生500円/高校生以下無料

※団体10名以上10%割引

※障がい者手帳をお持ちの方は半額になります

 

関連イベント

学芸員によるギャラリートーク(作品解説)

両館の展覧会をそれぞれ学芸員がご案内します。

日時:会期中の毎月第3土曜日 11時~14時(仏教館・近代館約30分ずつ)

会場:上原美術館 ※要入館券 当日、仏教館にお集まりください。

 

学芸員によるレクチャー(ミニ講座)

開催中の特別展『伊豆半島仏像めぐり』の展覧会担当者が映像を交えながら、展覧会の見どころをお話します。

演題:伊豆半島仏像めぐり

講師:田島整(仏教館本展担当者・主任学芸員)

日時:4/22(月)、5/26(日)、6/2(日)13時30~15時30(開場13時)

※各回とも講座内容は同じになります

会場:上原美術館【近代館】会議室 ※要入館券

定員:各回とも30名。要予約。先着順。

参加方法:①お名前 ②ご住所 ③お電話番号 ④参加人数(2名様まで) ⑤希望参加日を明記の上、郵便はがき、もしくはEメール(info@uehara-museum.or.jp)にてお申込みください。

 

 

主な出品作品

[仏教館]

1. ≪観音菩薩坐像≫鎌倉後期~南北朝時代 像高48.6㎝ 伊豆の国市・北條寺

※静岡県指定文化財

2. ≪地蔵菩薩坐像≫貞和5(1349)年 像高18.4cm 熱海市・保善院 ※熱海市指定文化財

3.≪地蔵菩薩坐像≫鎌倉時代 像高73.5cm 三島市・光安寺 ※三島市指定文化財

4.≪野嵜牛助家次像≫江戸時代 像高36.7cm 東伊豆町・個人蔵

5.≪伝観音菩薩坐像≫南北朝時代 像高44.2cm 伊豆市・修禅寺 ほか

(函南町・かんなみ仏の里美術館蔵≪観音菩薩立像≫≪地蔵菩薩立像≫は4/24以降の展示)

[近代館] 28点(そのほか第3展示室では上原コレクション9点を展示します)

1. 牛島憲之≪夕月富士≫1987(昭和62)年 油彩、カンヴァス 53.3×91.0㎝

2. 梅原龍三郎≪北京長安街≫1939(昭和14)年 岩彩・油彩、紙 40.0×65.5㎝

3. 安井曽太郎≪小高き丘≫1913(大正2)年 油彩、カンヴァス 35.0×38.0㎝

4. オーギュスト・ルノワール≪アルジャントゥイユの橋≫1873年 油彩、カンヴァス 46.0×63.0㎝ほか

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
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