作詞の仕事を少しだけしたことがある歌人の枡野浩一さん。通信カラオケに入っている歌詞提供作品が一曲だけあり、年に五円くらいの印税が振り込まれるのが大変モヤモヤするとのこと。
そんな枡野さんがスタートした連載は、題して「モヤモヤすっきり短歌」。忙しい日々の中で、悩みと呼ぶほどは深刻ではないモヤモヤを、あなたも抱えていませんか?
──この連載「モヤモヤすっきり短歌」は、悩み相談というほど大袈裟ではないものの、なんかモヤモヤするというエピソードをみなさんから寄せていただいて、それに枡野さんが短歌を捧げる、という企画です。
「はい。今回のモヤモヤは可愛らしいです」
●ヒット曲をアレンジして歌われるとモヤモヤします
《わたしがモヤモヤしていることは、往年の名曲や懐かしのヒットソングなどの歌謡曲を当時のままで歌ってもらえないことです。
わたしは日本の歌謡曲が大好きです。リアルタイムではないにしろ、耳に入り好きになった歌謡曲は「当時流行したバージョン」の歌謡曲ですし、無意識に口ずさんでいる場合には「当時流行したバージョン」です。
なのに「さぁ、歌っていただきましょう、懐かしの名曲です、どうぞ!」みたいなときに、当時にはなかったアレンジが加えられたり、やたら溜めが入ったりするのです。え、なにそのアレンジとか溜めとか、なんか人生の重み出ましたみたいなのやめてよ、ていうかたぶんそれ、いま現在ディナーショウとかでやってるバージョンでしょ、ってなるのです。あとサビの部分で大御所の余裕感が出てマイクを客席に向けちゃったりとかして、ちがうんだよあなたの声で聴きたいんだよサビを、となったりするのです。
わたしは当時のままで聴きたい。せめて懐かし名曲枠で呼ばれてるのならディナーショウでやってるバージョン(たぶん)じゃなく懐かしの名曲のままでやったほうがいいと思うんだ、そうに違いない、そうあってほしい。これがわたしのモヤモヤです。》
(日本の歌謡曲が大好きさん)
──たしかに、可愛らしいモヤモヤでした。
「これ、普遍的な思いですよね。詠みます」
▼歌人より一言
「一時期ボサノヴァ調のアレンジが流行って、それを揶揄した漫画が描かれたりもしました。ライブで往年のヒット曲を歌わなくなってしまうシンガー、たまにいますよね。
井上陽水さんのシークレットライブを下北沢で聴いたことがあるのですが、ヒット曲を惜しみなく、変にアレンジすることなく淡々と歌っていて好感度が高まりました。ここをたまたま読んだミュージシャンのみなさま、何卒よろしくお願いいたします」
写真:田形千尋 字と絵: 目黒雅也
【モヤモヤ募集中!】
「みなさまのモヤモヤを募集しております。
枡野浩一
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編集・構成 MOC(モック)編集部
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