
人生の締めくくりに向けて準備をする「終活」。最近は「墓じまい」の相談が増加中。
少子高齢化が進む昨今、そのニーズは高まる一方です。
アラフィフも、自分の死後の葬儀や財産のことを考え始める人が増えています。
先祖代々のお墓を子供や孫など次世代に託すべきか、その方法をどうするかなどなど、お墓に関する悩みはさまざま。
「供養ってなんだろう?」とお墓に対する日本人の意識が変化してきている今、MOC編集部はお墓に関するサービスを展開するまごころ価格ドットコムのセミナー『墓じまいは、新たなご供養の物語』に参加。
お墓、終活、供養のプロフェッショナルである御三方によるトークセッションをレポートします。
終活カウンセラーとして多くの相談を受けてきた武藤氏によると、『墓じまい』という言葉ができたのは約10年前とのこと。
ここまで一般的になったのはここ3,4年だそうだ。
武藤氏は、『墓じまい』に注目が集まる今を、どう分析しているのか?

──トレンドは『墓じまい』?! なぜ今お墓を意識する人が増えているのでしょうか?
まだまだ元気で健康なうちからお墓について考えるというのも興味深い話。
みなさん『いつかはやらなきゃ』と思っているけれど、きっかけがないだけ。
終活セミナーを開くと以前は70代くらいの方が多かったのですが、最近は20~30代の参加者も。
4年くらい前に、40代女性のための終活セミナーを開催したら2日間で予約が埋まりました。
墓じまいを潜在意識として持っている人は多いと思います。
──終活で死後のことを考えることで、生き方に変化はありますか?
ある70代の女性はエンディングノートを書き始めました。
子どもたちにはお金などを残さないことに決めて、自分たちでがんばるように伝えたり、お葬式の準備もされていました。
そして毎日何が起こったか日記のようにノートに書いていたのだそうです。
私がセミナーでよく引用する『死ぬときに後悔すること25』という書籍があるのですが、そのご婦人もお読みになり「終活を進めていたので25項目で後悔していることがひとつもなかった」と教えてくれました。
終活を始めてからご自身の生活もシンプルに、必要なものだけを持つようになったとも。
私も同じ女性としてこんな風になりたいと思うほど素敵なご婦人でした」
終活を始めることで、自分の人生を見直すきっかけや進みたい方向性が見つかることがあるよう。終活が人生にどんな影響を与えるか興味が増してきます。
ここからは、ごころ価格ドットコムのお墓ディレクター本間一彰氏を司会に、終活のプロ・武藤氏、供養のプロ・佐伯氏によるトークセッションがスタートです。

──終活におけるお墓の悩みには、どんな内容がありますか?
–武藤氏が回答–
終活の相談では、お墓に関する相談が圧倒的に多いです。
相続よりも多数。ただし墓じまいの解釈はひとつではありません。
実家のある田舎からお墓を移したい、整理したい、2つあるお墓を1つにしたい、お墓をやめたい、など墓じまいの解釈はさまざま。
共通しているのは、お墓をどうやって守っていけばいいのかという悩み。
墓石の価格や埋葬場所など条件面に加えて、自分がいなくなったあとどうなってしまうのかという相談が多いです。
いざお墓の守り方を変えるとして、お寺に相談しづらいという悩みも多く寄せられます。

──日本人はお墓を必要としなくなったのでしょうか?
–佐伯住職が回答–
供養のかたちは変わってくると思います。
だからといって、法事をしない家が故人を思わないわけではありません。
故人を思う気持ちの表し方や送り方が多様になっていくのでは。
ただし、お骨は残ります。お墓や弔い方の種類も増えてくるでしょう。

武藤氏は2011年の震災以来、被災地の女川を訪問した経験を通して、墓に対して感じた一つの逸話を披露した。
–武藤氏の体験–
仮設住宅で暮らしているご婦人が『家のお墓残っていたんです!よかった!』と喜んでいたんです。
お墓が残っていて本当に安心されていました。そういう気持ちもまだ残っています。
墓じまいという言葉が浸透し始めていますが、供養の心がいきなりなくなるわけではないですよ。
現代社会では家族のかたちが変わり、ひとり暮らしの高齢者も増えています。お墓の守り方は変わっていくでしょう。

──なぜ今、墓じまいが流行し始めているのでしょうか?
–本間氏が回答–
2025年問題と呼ばれる節目があり、生産年齢人口が7千万人まで落ち込むと考えられています。
65歳以上が3500万人を突破し、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化社会を迎える見込み。
さらに、お墓の数は平成26年度衛生行政報告例によると約86万個。
ただし管理者のいない無縁墓は中日新聞の記事によると1万5千個以上とみられているそうです。
加えて、日本は少子化と人口の都市集中、地方の過疎化が進んでいます。
高齢者の独身世帯は、子供がいても遠方で離れて暮らしていることが多いため、自分の死後に「お墓の管理をどうするか?」が大きな課題なのです。

──お墓を守っていくことは大変。
『墓じまい』にはどんなことが必要ですか?
–本間氏が回答–
墓じまいをする場合、供養先決定、離檀申し入れ、役所へ書類提出、魂抜き、遺骨の取り出し、遺骨洗浄、工事申請などが必要です。
けれど実際に行うことや順番はさまざま。インターネットで調べると大体の流れはわかりますが、わかるのは一般的なものだけです。
お客様それぞれの事情に即したものは、事情や状況に応じて変わってきます。
まごころ価格ドットコム調べでは「何から手をつければいいかわからない」「墓じまいするにも金額が不透明」「手続きが面倒なイメージ」「相談先がわからない」「お墓に無関心」という声が多かった模様。
その背景には、無縁墓に対する法律がないことも指摘。
法的手続きの面のほか、こころの面でのお悩みも見過ごせない。
──お寺に対して、『墓じまい』を言い出すのは気が引けます。
–佐伯住職が回答–
たしかに言いづらいということはあるかもしれません。
私は徳島のお寺に生まれ、東京へ出てきました。
実家のお寺とこちらのお寺で活動するなかで、東京の方が檀家さんとの距離感を感じます。
田舎は檀家さんがお寺の近くに住んでいたり行事でも顔を合わせます。
いち住民としての付き合いがあるので比較的気軽に相談できる雰囲気があります。
都会は法事などお寺の行事でしか会うことがあまりないため人間関係が地方ほど築かれていないです。
そして、お寺に対してイメージ先行なところもみられます。『お金をとられるんじゃないか』『疑問を聞きづらい』と思われているように感じます

長年の付き合いがあるお寺に対して、墓じまいをどう切り出せばいいのかというのは悩みの種。
佐伯住職の生まれた地方では、檀家さんがお寺に相談する姿も多いようだ。
──お寺の立場では、『墓じまい』を、どう見ていますか?
–佐伯住職が回答–
お互いを知っているからこそ言いづらいというのもありますし、お互いを知らないからどんな対応されるかわからないということもあります。
お寺としてはやはり檀家さんに離れてほしくないという気持ちはありますが、多くの僧侶や寺院は時代の流れを受け入れざるを得ないと捉えています。
お墓の維持に関して檀家さんが悩んでいるということを、現実として見ています。
ですから話を聞く姿勢を持っているんですよ。
たしかに悪い対応をするお寺の話を聞くことがあるでしょうが、そういうお寺ばかりではありません。
疑問があるときは、お寺に聞いていただくのが一番です。

──『墓じまい』には、高額な「離檀料」が必要なのですか?
–佐伯住職が回答–
お墓を更地にする費用はかかります。
しかし法外な離檀料をふっかけるお寺の話は、私の周りでは聞きません。
多くの僧侶や寺院は会社組織のようなものですから、常軌を逸したところではありませんよ。
離檀料という言葉がいつ生まれたのか、私も調べたのですがわからないんです。
お寺との付き合い方は、檀家さん一軒一軒で異なります。
それを一定の金額で提示するのはなかなか難しいと思います。
──ズバリ「お気持ち」ってHow much ?!
実際いくら払えばいいのですか?
–佐伯住職が回答–
たとえばお布施の金額が決まってしまうと、お金を持っていない人は自分の大切な人のためにお経を拝んでほしいときに頼めなくなってしまいます。
数字はわかりやすいのですが、お気持ちというかたちで曖昧にすることも必要かと思います。
数字で表してしまうと、価値をほかのものに置き換えてしまいます。
たとえば同じ金額のモノと、大切な人の供養を並べて考えてしまうというようになってしまいますから。
檀家になっている寺院から離れるには、離檀料が高くつくというイメージが先行しがち。
面と向かってお寺に聞きづらい疑問を佐伯住職にあえてぶつけさせていただきました。
そうはいってもお気持ちの解釈が難しいところ・・・・。
「お寺から『お気持ちでいいと』言われたら、お気持ちでいいと思うんですよ」と武藤氏が後押し。

──お墓に関するお悩みを持っている方は多いと思います。
サポートしてもらうタイミングはいつがいいですか?
–本間氏が回答–
墓じまいは人生で頻繁にあるものではないので、わからないことも多いでしょう。
まずはお客様ご自身で身内の方やお寺と話してから、悩みが解決できない場合に専門的なサポートを相談するのをおすすめします。
–佐伯住職が回答–
いろいろなお寺がございますが、間に業者さんや専門家が入ると話がより混乱することもあります。
例えばですが、揉めごとが起った場合に、第三者に間に入ってもらうのがいいのではないですようか?
──これからは『墓じまい』が世の中で注目されるのでしょうか?
–武藤氏が回答–
亡くなった方がどこのお墓に入るかという問題はきっと起こります。
樹木葬や海洋散骨などの選択肢の中のひとつに、墓じまいが浮かんでくるようになると思います。
その先にいろいろな方法があるということ、墓じまいは罰あたりだと思わなくていいということを知ってほしいです。
–佐伯住職が回答–
これから先、供養の仕方も新しいかたちが出てきて選択肢が増えるでしょう。
そして思うのは、貧富の差、格差の拡大です。
格差によってそのあとに選択できる方法も変わるのではないでしょうか。
具体的なことはまだわかりませんが、お骨の行き先も多様化していくと思います。
–本間氏が回答–
無縁墓をなくしたい。お墓をポジティブに捉えていけるようサポートしていきたいです。
今回のセミナーを通して、お墓と供養の心を整理整頓するためのヒントを得ることができました。

先祖代々受け継いだ墓を守り、次世代に受け継いでいきたい人。
自分の代でお墓の管理方法を変えていきたい人。いずれにしても、悩んでばかりでは答えは見えてこないよう。
故人を偲ぶ気持ち、受け継いできたお墓のことをポジティブに捉えていくためにも、まずは周囲の人とお墓について話してみませんか?
今回のセミナーを主催した「まごころ価格ドットコム」は、墓じまいをはじめ墓づくりや墓石彫刻など、お墓に関するサービスを47都道府県対応で展開し、カタログを通して日本全国から集まるお墓に関する相談に応じています。
仕事にプライベートに忙しいアラフィフも、気軽に相談いただけます。

写真:横山君絵 文:MOC編集部
編集・構成 MOC(モック)編集部
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