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亀山早苗氏インタビュー第1回 大人が上手に恋愛する方法 アラフィフは第二の恋の季節

 

 

不倫や婚外恋愛に関する著書を多数執筆されている亀山早苗さん。フリーライターとして、女性の生き方を中心に恋愛や結婚・性の問題に取り組んでいらっしゃいます。数えきれないほどの大人の恋愛を取材してきた中から見えてきた、『アラフィフ大人たちが上手に恋愛をする極意』を今回は特別に教えて頂きました。『女性がハジけすぎずに恋愛する方法』や『大人の男性に知って欲しい恋愛のポイント』についての話は、アラフィフ必読の内容です。

 

 

――著書『渇望』や『「最後の恋」に彷徨う男たち』を読み、アラフィフは人生における転機だという印象を受けました。50代は第二の恋の季節なのでしょうか?

 

そうですね。最近のニュースを見ていても、『50代は第二の恋の季節』なのだと思います。去年の中頃から、2018年はアラフィフの恋が注目されるんじゃないかと思っていました。今までアラフィフの不倫が、こんなにもバーンと報道されるということはあまりなかったのですが、世間からの関心が高くてメディアでも盛り上がっていますよね。

 

――アラフィフ世代の人に第二の恋の季節が訪れるというのは、何か理由があるんでしょうか?

 

50歳は人生の節目。ここからが『人生の新たな始まり』ですから、何かしてみようという気持ちになるんじゃないでしょうか。

私は50歳になった時に、「点在していた過去の記憶、過去の自分が全部繋がって人生が一本になった」と実感したんです。それまでは、過去を取り出すのに苦労していましたが、「もう何歳の自分でも取り出せる!」ように。過去の経験をスルスルと思い出せるようになって、やっと生きていくのが楽になった。自分の人生というものを、良い事も悪い事も全て受け入れられるようになりました。

 

――20代の頃と50代では恋愛が変わりましたか?

 

若い頃は、肌の相性がいいと気持ちまで引っ張られてしまうことがありましたが、50代になった今ではそういうことは無くなったような気がします。

『40代前半で女はSEXに狂う』というのが自論なんです。「SEXが楽しい。とにかく気持ちがいい」と感じるような体になるのが40代。50代になって、やっと精神面とのバランスが取れる。『花咲く50代』ですね。

 

 

 

 

――40代は性的な欲求が強くて、50代でプラトニックな部分と性的欲求とのバランスが取れるようになり、恋に目覚めるんですね。他にも、50代は第二の恋の季節なんじゃないかと思われる理由がありますか?

 

老いを実感するのが50代ですよね。40代は『若さを失う』という意味での老いで、50代は体が思っているように動いてくれなくなるような老い。反射神経が鈍くなって、40代とは如実に違うと思い知らされる。愕然とします。

『死』ということを意識すると、『生きる』ということを見つめ直すんじゃないでしょうか?

 

――50代は、「女性として認められたい」と思う年齢なんでしょうか?

 

いろいろな人に話を聞いていると、承認欲求がめちゃくちゃ強くなるのが40代後半。これは女性の更年期障害の時期とピッタリ一致しています。「産む性」が終わるだけなのに、「女としての一つの機能を失う」と焦るんでしょうね。アラフィフは「女性として認められたい」という欲求が強くなる年代なのだと思います。

更年期障害の症状がひどい人は、本当に辛いみたいです。身体的なことだけでなく、精神的に軽いうつ状態になる人もいます。

結婚をしていて子どももいて、周りからは幸せそうに見える人でも、「夫とは男女の関係ではない、私はずっと家族に尽くしてきただけ。女として、私はなんて不幸なの?!」と、苦しい思いに悩む女性は多いような気がします。

 

――恋をすれば、「どうして私は不幸なの?!」と落ち込まないものなのでしょうか? 精神的にバランスが取れるものなんですか?

 

恋は「女として必要とされている」ということが、誰にとってもシンプルで分かりやすいものですから、精神的にも安定するんじゃないですかね。

家庭の中で『女として』認めてもらえないセックスレスの夫婦は、平均で6割と言われていますが、40代~60代の夫婦の割合は8割を占めるかもしれません。

昔は60代位でもう亡くなっていましたから、50代や60代の人は、『女として』どうこうというのは考えませんでしたが、今や女性の平均寿命は87歳。50代の女性は、まだまだ人生半ばです。

「女として見てもらいたい」という気持ちが強いのは、私は良いことだと思います。でも、そこに落とし穴があることも。ナンパ師の男が言っていましたが、「アラフィフの女性は自己評価が下がるので、そこを持ち上げてあげれば簡単に落とせるんだ」と。

 

 

 

 

――女性は気を付けないといけないですね。アラフィフ女性にとって恋愛とは何なのでしょうか?

 

男性も同じだと思うのですが、恋愛は魔法みたいなもので、自分が活性化されるし、誰かを思って華やぐ気持ちになるというのは、他のことでは得られない何か特別なものがありますよね。

『人から好かれているという自信』と、『人を好きだという気持ちが一致する喜び』って、長年連れ添った夫婦の間では、あまり感じなくなっていますから。

だからと言って、アラフィフの恋愛は若い人のように、『好きだから結婚』に至るとは限らない。それとこれは別です。

好きだから一緒に住みたい訳でもなく、好きだから結婚したいわけでもなく、いろいろな意味でのパートナーになるのがアラフィフの恋愛。ある意味で打算がなくて純粋に恋愛を追求できるような気がします。

パートナーという関係を、なぜそんなに世間の人は疑問に思うのでしょうかねぇ?

 

――そういうおおらかな関係を許容できるのも、アラフィフになったからこそということなんでしょうか?

 

そうですね。バツイチであればなおのこと、結婚したいとは思わない。

恋愛対象となる相手の幅も広くなります。バツイチでもいいし、独身でもいい。

でも一人暮らしが長いと、誰かがそばにずっといるって、ちょっとシンドイかもしれません。生活を乱すような恋愛は望んでいないんです。

 

――気楽な恋愛をしたいわけではないのですよね?

 

もちろん。相手に対する気持ちは真剣。関係性は決して気楽なものではないのですが、周りの人から見たら『ただの火遊び』みたいな気楽な関係に思われちゃうんでしょうね。

でも、関係を法律に縛られることはないと思うんです。「結婚しないと、パートナーじゃない」とは思わない。

一般論に振り回されるのは、もういい。自分と相手にとって、ベストな距離ってあるはずですから。

 

――お互いにとってベストな距離って難しいですよね。

 

ベストな距離は、いつも同じではないですね。今日は身も心もべったり一緒みたいな日もあれば、心は一緒だけど身は離れているみたいな時もあるだろうし。

どちらかが仕事で出張に行ってしまうので暫く連絡がとれない時でも、信頼してるから別になんら心配はない。毎日連絡を取らなくてもイイ。

 

 

 

 

――相手の方も同じ時間離れていても大丈夫かというと、必ずしもそうではない時もありますよね?

籍を入れていなくても大丈夫な女性もいれば、男性でも「籍を入れないと他の男に取られてしまうのではないか」、「フラれてしまうのではないか」と心配でたまらなくなる人もいますから、ストーカーみたいな恋愛における天国と地獄が起こったりするのではないのでしょうか。

40代や50代以上の人達の恋愛でも、必死さが伴うものもありますよね?

 

必死になってしまう恋は、一見真剣な恋愛に見えますが、実は『依存』に近いのではないでしょうか。

10代や20代ならばそういう行動をすることも分かるのですが、アラフィフ世代の人がそんな恋愛をしてしまったら、それは完全に『依存』だと思います。

皆さん、人からの評価をとても気にしますよね。『インスタ映え』もその一つだと思うんですが、「私はこんなところに行っています!」というのを、人がどう見るかという目線ですよね。私もフェイスブックの自分のページを持っていますけど、自分がどこに行ったかということはまず書かないし、そこに行ったことが楽しければ楽しいほど拡散したくない。

「自分だけの楽しみにしておきたい」と思うんです。

人の評価を気にする人は、やっぱりどこかで依存したり、誰かに認めてもらえないと生きていけない。『評価や承認されないと生きていけない』のは、ちょっともったいないと思います。不自由ですから。

 

――著書の中に登場していた『50代で渇望する男女』は、お互いに傷つけ合うような関係のカップルも多かったですが、暴走する人は依存度が非常に高い人だということなんでしょうか?

 

その通りだと思います。男性も女性も依存度が高い人が、アラフィフの恋愛で暴走する傾向が強いと。

例えば不倫をしていて、「彼のことが信じられない」と、嘆く人がよくいます。そういう人には「自分の愛情が信じられないんじゃないの?」って聞くんです。

自分が相手のことをすごく好きなら、相手が同じくらい自分のことを好きじゃなくても別にいいですよね?

 

――自分が愛した分だけ相手にも愛して欲しいとは、思わないんですか?

 

相手に「好き」と言って愛情を伝えても、相手が拒否せずに黙ってそれを受け止めてくれているのであれば、それでイイと思うんです。愛情表現を返してくれないとしても、一緒にいるということは、相手も自分のことを受け入れてくれているのだから。

 

 

 

 

――若い頃の恋愛は、自分と相手を同化させるじゃないですか。相手が1の愛情を持っていたら、自分も1の愛情を持っていないといけないみたいな。そう言った考え方が依存関係に陥らせてしまうのかもしれないですね。

お互いが自立した関係になれば、個人として独立した恋愛になる。いろいろな面で大人にならないと、なかなかそうはできないですね。

 

歳を重ねることで自分も変わるし、相手も変わります。愛情は完全に生もの。情熱だけでは愛情はもたないけど、落ち着いて恋愛することでどんどん愛情が深くなるんじゃないですかね。

 

――「不倫をするのならば度量が必要である」と著書の中で書かれています。

恋愛も日々変化するものですから、その変化に対応できるマインドがないと続けていけないのでは?

 

若い頃は変わらないものを求めていたような気がするんですが、今は「変わったほうが面白いじゃん」と思うようになりました。余裕が出たというよりは、経験を重ねて不幸も楽しめるようになった。

40代の時に、いきなりフラれてボロボロになったことがあったんですが、半年も経たないうちに「なんであの時はあんなに泣いて、一晩でティッシュを3箱も使い切る位に鼻水が出たんだろう」と。「鼻水だけでなく、脳髄も一緒に出てるんじゃない?」と、ティッシュをまじまじ見ていた自分を、後から冷静に思い出していたら、なんだか可笑しくなってしまって。

 

――「この歳で傷ついてしまうと立ち直れないじゃないか」という人がいますけど、そうとは限らないのですね。若い頃よりも早く立ち直れる。

 

その人がいなかった時には戻れないけど、突き詰めて考えてみれば、その相手がいなければできないことなんて無いですから。アラフィフ世代の人は、そういうことは分かっていますから、意外に早く時間が解決してくれる。

 

 

 

 

――話は変わりますが、アラフィフ世代が「第二の恋の季節」だと言われているのは、もしかしたら「ずっと恋愛に飛び込めなかった人が、やっと飛び込める年齢だからなのかもしれない」と思うのですが、いかがでしょうか?

また、なぜ50代前後になって、恋愛に飛び込めるのでしょうか?

 

世間体や自分の中の正義、道徳観などから自分を縛るのを止めようと思うんじゃないですかね。

世の中の8割の人は、真面目だと思うんです。、まじめだから世間体に縛られ、未だに、「離婚すると可哀想」、「不倫はいけない」という価値観の中で生きてしまう。

そういうふうに思うこと自体、「つまんない」と思うんですよね。世間の価値観から脱皮できるのがアラフィフなのではないかと。

私は離婚をした時に、「あれほど好きだった人となぜ離婚に至ったのかを徹底的に考えてみたんです。子どもの頃から頭に残っている出来事をいろいろと書いてみたら、自分が自分の価値観だと思っていたことが、実は全部親や世間や学校から押しつけられた価値観だった。「私は私だと思って生きてきたのに、私は私であって私じゃない」って気が付いたんです。

「じゃあ、“私”を作るにはどうしたらいいんだろう?」と改めて考えてみたんです。まず、ディベートみたいなことをしてみた。自分は本心ではそうとは思ってはいないけれども、相手に反論するために理屈を作って自問自答してみたんです。「あの人はAと言っているけれど、それに反論してBだと言うためにはこういうロジックが必要だな」とか、「反論してみたけど、私は感覚的にはやはりAが好きだな」とか。そんな風にして「私」を作ろうとしてみたんですけど、最終的に今は、「価値観なんてなくてもいい!」というところに落ち着いたんです。

「私の価値観です」って言っていること自体に意味がないのではないか、直感で動いてもいいんじゃないか。

50歳くらいになると『世間知』というものが分かっているので、敢えて自分の位置を決めずに傍観しながら観察するのも楽しいのではないかと。

 

 

 

 

――50歳を境に世間的な縛りから解放された女性たちの中には、タガが外れて暴走してしまう人もいるのではないかと思うのですが。

 

ずっと真面目に生きてきた女性ほどタガが外れやすい。タガが外れた女性は、本当に面白いんですよ。私は大好きなんですけど。

普通に20代後半とかで結婚しても、適度に遊んだり気軽に男友達を作っていたりした人は、そんなにハズさない。うっかり一回寝ちゃったとしてもそんなに引きずらないので、割と家庭もうまく収まっている。

でも、「良いお母さんでいなくちゃ」「良い奥さんでいなきゃ」と真面目にやってきた人は、タガが外れると、もうハズレっぷりがスゴイ。溜めに溜めていましたから、ハードルをポーンと飛び越す。

相手の男性にしてみたら、ものすごい色気を感じると思いますよ。熟成された色気ですから、相手の男性も夢中になっちゃう。

 

――大人の恋に天国と地獄が伴う印象があるのは、このような心理が働くからなのでしょうか?

 

女性から見ても、タガが外れた女性は激変します。それまで着なかったような服や、急にTバックの下着やガーターベルトを身に付けたりしちゃうのですから。

ずっと自分のことは後回しにしてスーパーの安い下着を履いていた女性が、いきなりそういうものを身に付けるので、心臓がドキドキして、目まで潤んでキラキラしちゃう。

いきなり活性化されて「潤いのある女」になるんです。セクシーなんてもんじゃない。街を歩いていても、「私を誘って!」というオーラを全身から醸し出しているんです。

そういう人は暴走してしまっているので、いきなり不倫で2股かけたり、3股かけたりしちゃう。免疫がないから上手くさばけないんです。

2股かけるのであれば、いろいろ根回しも必要なのに本能のままに突き進んでいっちゃう。それで夫にバレたり、いろいろと困ることが起きたりして、恋愛地獄に落ちてしまう。

 

 

 

 

――ブレーキが効かない女になってしまうんですね。最初のタガが外れるきっかけって何なんでしょう? 日常の些細なことなんでしょうか?

 

花粉症のように、今まで少しずつ溜まっていたものが一杯になって、溢れてしまう人もいるんだと思います。

真面目な女性は、溜まっていくものの抜き方も分からない。自分自身の欲望に興味が無く、自分の性にも無関心、「妻とはこうあるべき」「良いお母さんでいたい」と思い込んで頑張ってきた。そんな女たちが、40代後半くらいで子育てから解放されたことをきっかけに、気が抜けてしまう。

「私はなんのために生きてきたの?」みたいになっているところに、「恋してる私」というキラキラしたものが舞い降りてくると、スゥーっと入り込むんでしょうね。

 

――人生って、本当にドラマティックですね。

 

 

道徳に縛られていた人生を解放できるのがアラフィフ世代。真面目に生きてきた人ほど、我慢を重ねていたり、頑張り続けたりしてしたはず。でも、世間の常識も踏まえた上で、自分の心の声に素直になってもイイんです。

アラフィフ世代の人の承認欲求が高まるのは、ホルモンのバランスが崩れているのだから自然なこと。女性だけではなく、男性にも更年期はありますから、男女を問わず「誰かに自分を分かって欲しい」と思いがち。

ですが、他人に認めてもらうのではなく、自分が自分を認めてあげられるようになることが、一番大切なことなのかもしれません。自立した大人でいることが、アラフィフ世代の恋愛の極意なのですから。相手に承認を求め過ぎて『依存』に陥ることなく、50代60代の恋愛で暴走しないことが、大人の嗜み。

恋なんてしたくないと思っていても、人はいつの間にか恋に落ちてしまうもの。アラフィフの恋は、自分を解放し「今、本当に欲しているものは何なのか」を改めて考える為に与えられた運命なのかも。

 

写真:田形千紘   文:北川りさ

 

 

 

 

 

亀山早苗インタビュー第2回 大人が上手に恋愛する方法 アラフィフは第二の恋の季節

亀山早苗氏インタビュー第3回 大人が上手に恋愛する方法 アラフィフは第二の恋の季節

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を生きる、
大人のためのマガジンMOC(モック)
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PROFILE
亀山 早苗

亀山 早苗

1960年東京生まれ。明治大学文学部卒業。フリーライターとして、女性の生き方を中心に恋愛、結婚、性の問題に取り組む。『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『不倫の恋の決断』『妻と恋人』『渇望』『オンナを降りない女たち、オトコを降りるオトコたち』など、不倫や婚外恋愛に関する著書多数。『渇いた夜』、『愛より甘く、せつなく』などの小説作品やノンフィクション作品も手がける。

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