人生100年時代を楽しむ、大人の生き方 Magazine

小池一夫氏のTwitter術に迫る! 世代を超えて思いを伝える方法とは?

 

 

漫画原作者の小池一夫先生。

生み出してきた「子連れ狼」「修羅雪姫」などの作品は、国境を越えて、映画監督クエンティン・タランティーノら多くのクリエーターに多大な影響を与えている。

小池先生は日々の思いや日常をTwitterで発信しており、そのフォロワー数は83万人に上る。

ツイートは若者から「励まされる!」「思っていたことを言葉にしてくれた」と絶大な支持を受け、数千、数万の「いいね」やRTをされて拡散される。

80歳を超えて、若者の心を震わせ続ける小池先生に、その極意を聞いた。

 

 

──小池先生は、相当早い時期から著作をメディアミックスで展開されていましたし、その時代毎にフィットしたメディアの使い方をされている印象がありますね。

 

今の時代は進化のスピードが昔と比べて非常に早くなっているんですよね。

世代間の変わり方も含めてね。ソーシャルメディアというのは、かなり以前から予想ができたことではありますね。

なぜ予想できたかというと、それは僕が若い弟子たちを40年以上育ててきたからなんですね。

高橋留美子とか、原哲夫、板垣恵介、ドラゴンクエストの堀井雄二、桃太郎電鉄のさくまあきらとか、大勢いますけど、彼らと一緒に歩いてきたわけですから。

ネットの世界ってものは、進化を止めることはできないだろうなあと。

だからそれについていかなかったらダメだろうなあと。

 

──先日、先生はTwitterで、「40代の後半くらいで、何も無い人なんかいないよ」ということをつぶやかれていました。

 

そうです、その通りです。子供の学校の問題、ちょうどいい年頃になった子供の問題、あと自分がこのままでいていいのか、これでいいのか、老後はどうするかとか、そんなことでもって一番悩むのがその世代なんですよね。

苦しい世代ですね。

40・50・60代の人はなんと言ったらいいかなあ、上と下に挟まれて、大変なんだと思う。

僕なんてもう80代。今度82歳ですから、堅苦しいことは考えないようにしていますね。

 

 

 

 

──小池先生は82歳ですか!Twitterを使って、毎日いろんな方とコミュニケーションをする先生の意欲に驚きです。

 

普通80代と20代のTwitterでの会話なんてないでしょ?

あったとしても言葉が通じないしね。

例えばだけど、僕が凄い大盛カレーライスを食べ終わったとする。

僕らの世代では「いやよく食べられましたね」、「全部食べちゃった」なんて会話をしてた。

でも、今の世代は「完食!」「完食したね!」ですもんね。

“カンショク(間食)”っていうとおやつという感覚なんですよ、僕らはね。

それだけ違いが微妙にずれて言葉に出てくるから驚いているし、やっぱり自分もついて行かなきゃって思う。

日本にいて、大勢の人と一緒に暮らしているわけですから、理解できない層があるっていうのは、辛いですよね。でも理解しなきゃいけない。

Twitterで「僕はこう思うよと発信すると、「違うよって意見もいっぱいありますし、悪口もありますけれど、でもなんていうのかな、それはそれでいい。

最初はね、Twitterって聞いてもなんのことか分かんなかったんです。

そしたらそばにいる若い奴らが、「愚痴ですよ、愚痴」ってね。愚痴かぁって(笑)。

キャラクターの話とか、食べ物やお酒とか、いろんなものを混ぜて、なごやかに、まろやかにしながらやっています。

 

──常に新しいメディアに対して柔軟性に付き合う姿勢に、ただただ驚きですが。

 

興味ですね。

だから誰も知らない頃に初音ミクもみっけて、「これは面白いと思ったので、札幌のクリプトンフューチャー社まで行って、勉強してきました。

「キャラクター新論」の表紙に使わせてもらったり。

すると、初音ミクのコンサートに招待してくれたので、行ってきましたよ。

80代は僕だけでしたが。

 

──(絶句)。バイタリティがすごいですね。

 

ニュースでは辛い知らせが多いですが、やっぱりそういうことを過剰に心配しない方がいいと思いますよ。

意識したらね、なんかね、辛いでしょ。

寒いなら寒いし、暑いなら暑いし。

それよりもね、今生きていることの中で何が楽しいことか、何が自分にやれることか、何にどう取り組んで行けばいいのかってことを大事にしたほうがいいと思う。

やれ戦争がどうだとか、政治がどうだとか、いろんな事を考えるよりも、一つのそれは世の中の流れですから、自由闊達に自分の“今”を楽しまないとね。

生きていること自体非常に価値のある貴重なことですから、せっかく人間になって生きているから、苦しむために生まれてきたんじゃないのでね。

楽になってやろうじゃないかという、ただそれだけ。

要約すれば、それだけのこと。

 

 

 

 

──小池先生の最近の著作は、次の世代を勇気づけるようなタイトルが多いように思います。

 

特に40・50代は、「働かなくちゃいけない、会社に所属してなくちゃ」ってことで固まっているから、自由さが失われている感じがするね。

サラリーマンの世界になると、上司とはうまくいかないからやめようかとか、転勤になって遠い地へ行かなきゃいけないから家族はどうしようかとか、いろいろ苦しい時代ですよね。

でもね、老後のために今は生きていて、老後のために一生懸命頑張るという考え方は、今という若い時を損しているわけじゃないですか。

今若い時にやりたいことをやる、というのは一番いいことでしょ?

老後を楽にのんびりするために、今我慢ばっかりしていたらもったいないと思う。

老後になっちゃったらなんにもできないでしょ?

何もできなくて、寝たきり老人でもなってなにをしようというのかねえ。

だからそうじゃなくて、今を一生懸命生きて、やりたいことをやる。

人生が老後のためだったらあまりにも悲しいじゃないですか。

 

──楽に生きるための秘訣などありますか?

 

僕はどんな時にも逃げ道さえ作っとけっておけば大丈夫って言っているのですよ。

Twitterでね。

つらい事でも、上役に怒られたりした時でも、逃げ道に逃げ込めばいいじゃないですか。それが一番ですよ。

でも時の逃げ道っていうのは用意しとかなきゃいけない。

作家になりたいならなりたいっていう風にね。夢を持ち続けていれば、何かの転機が来た時に書けるかもしれないから。

 

 

私たちは苦しむために生きているんじゃない。

若い世代も上の世代も、今を自由に生きていい。

逃げ道だってあっていい。「今を楽しく生きている」小池先生の言葉が、ス~っと胸に沁みるようだ。

 

写真:田形千紘  文:安藤記子

 

 

 

 

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編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE

小池 一夫

作家・漫画原作者。1936年秋田県生まれ。
70年「子連れ狼」(画/小島剛夕)の執筆以来、小説、漫画原作、映画・テレビ・舞台等の脚本など幅広い創作活動を行う。
代表作に「首斬り朝」、「修羅雪姫」、「御用牙」、「クライング・フリーマン」など多数。77年より漫画作家育成のため『小池一夫劇画村塾』を開塾。独自の創作理論「キャラクター原論」を教え、高橋留美子、原哲夫、板垣恵介、堀井雄二、椎橋寛ら、多くのクリエイターをデビューさせ、現在も後進の指導にあたっている。
2004年には米国漫画界のアカデミー賞と呼ばれる「ウィル・アイズナー賞」殿堂入り。

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