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竹内力氏「野獣の勘で勝負に挑む。人生は一度きり」第2回

 

俳優として芸能界デビューをした竹内力さん。今や製作会社を営む企業家の顔も持っています。社長、俳優、プロデューサー、歌手など、変幻自在に芸能界を駆け巡るビジネスマン・竹内力のパワーの源に触れてきました。

 

――感動させるのも、感動するのも好きなんですね。常にいろんな作品をウォッチしてますか?

 

いつも小説とか読んでいるわけじゃないけど、世の中を見てる。

たとえばアニメなら『ドラゴンボール』を見た人は感動するわけでしょ。『仮面ライダー』とか『ウルトラマン』はアクションものだけど、敵を倒すじゃない。そこに感動が生まれる。山口百恵さん主演の『赤い』シリーズだって、あれも感動が最後に来る。『北の国から』もそう。俺からすると、『ウルトラマン』も『北の国から』も一緒なんですよ。最後に感動するから。

そういう意味でいくと、誰が見ても無駄をしない時間を提供できる娯楽作品を作りたいね。映画って娯楽でしょ。ただ、娯楽作品の製作で難しいのは、みんながみんな観てくれるわけじゃないってところ。現代は多様化してるからね。ゲームに熱中する人間、仮想通貨を一日中チェックしている人間。これだけ娯楽が増えた中で、形は変わりながらも途絶えていないよね、この分野は。今は配信ドラマもどんどん増えてるから、うちの会社も配信ドラマを手掛けてる。

ただ、結局は人が感動する作品を作ること。そうじゃないと失敗すると思うよ。

 

――成功失敗の嗅覚があるんですね。

 

最低でも俺は赤字はやらないね。

赤字はないってのも、経営面での出費(人件費などの固定経費)を考えると赤字ともいえる。それはもう俺の先行投資のやり方だからしょうがない。これからだよ、これから。

闘いは最後にならないと勝負は分からない。今はまだ中盤戦……いや、前半戦だね。製作会社としてはまだ前半。やっぱ、大手上が凄すぎるんでまだまだだな。

歴史がある人たちを超えるのはやっぱり大変だよ。配信ドラマという形態が出てきたのは大きいよ。そこでこれからまた闘えるかな。日本だけじゃなくて海外と組む動きもして、どんどん作品を作っていくつもり。

 

 

――『終戦のエンペラー』(ピーター・ウェバー監督、アメリカ合衆国製作、日本では2013年公開)はRIKIプロジェクトが制作として海外と提携されましたね。

 

難しい契約みたいなところは社員がやってくれたから、そこらへんは俺はわかんねーな(笑)!

ただ、結局つながりですね。人と人とのつながり。安心してうちに任せられると思ってくれたみたい。

そして信用がいつの間にか、ついてきた。いつの間にかと言ってもっても何年もかかったけど。

あと、俺は現場を大事にするから監督は仕事がしやすいみたい。上なんかどーでもいい。俳優しかやってない頃は、上に文句ばっか言ってたよ。俺は間違ったことはしてないし、うちの社員にも現場を大事にしないプロデューサーにはなるなって教えてる。すごい会長や社長ほど腰が低いんだよ。そうじゃないと人はついてこないんだぞって。

プロデューサーもだけど、監督も時代に合わせていく才能がないと難しいよね。求められるものが変わっていくから。CGを多用したり、そういうとこについていけないと。勉強熱心な人、心がある人が監督だといいね。そうじゃないとブームで終わってしまう。あとからあとから若い人がどんどんどんどん出てくるから、競争だよ。

 

――強い危機意識を持っていますね。

 

一番はそうだね。最高にうまくいけばこうなる、最悪はこうなるって両方の可能性を常に考えてますよ。

 

――用意周到といいますか、かなり真面目な方だなという印象を受けます。

 

俺の血液型なんだと思う? AB? へ~あんま言われたことない。俺はね、“最新型”。

 

――ぴったりです(笑)。

 

真面目な話をしていると「A型ですか」って聞かれる。でも面倒くさいから「最新型です」って言うことにしてんのよ。実際のところ? A型です!

 

――常にアップデートをしている力さんが、「これで満足!」となることはありますか?

 

ないよね。人生、何があるかわかんないんだよ! 信号が青になりました、右左見てわたりゃいい……ってもんじゃない。気を付けていても何が起こるかわかんない時代でしょ。失敗しないように失敗しないように気をつけていても、どこに落とし穴があるかわかんない。それを考えることが多い。

野獣の勘のおかげでうまくいくこともある。落ちそうになってもス~っと進めたことがある。そうやって生きてきたから、今までゴーンと落ちたことはないですね。ピンチになっても大ごとにならないで済んでる。俺のキャラクターのおかげかもしれないね。

ただ、過去に騙されたことはあるよ。騙す奴は素人なのに、俺より芝居が上手い。助けてくれっていう、その涙に騙された俺が悪いんだよ(笑)。

 

 

――人を見捨てることはなかなかできない?

 

できない。できないけど、最悪の場合は見捨てる。人として信用できなかったら。

同じことを何回言っても直んない奴は、直んない。そうすると害虫になるから。「お前はお前にあった道に行け。うちの仲間としては色が合わない」と。だって、俺の傍にいることがキツイかもしれない。ついてこられないわけだから。だったら違う会社で違う生き方をした方がその人には合っていて楽かもしんないから。

俺が言っていることって、大体が一般常識だからさ。それができないなら、他の道に行くのがいい。俺も甘いから最初のほうは自分が我慢すればいいかと思って様子を見るんだけど、だんだんストレスになってくるね。それでますます周りの仲間にも被害がいくようになると、俺が判断して切るしかないなと思うよ。

「こんだけ俺がやってやってるのに、何回裏切るんじゃ~!!」とも思うけど、もっとこう、「俺のことを裏切るのはいいけど、なんで仲間のことを裏切るんじゃい!」って気持ちが強い。「3年間ずっと言い続けて変わらなかったんだから、お前とは付き合えない。俺のことを慕ってくれてる他の奴らの迷惑だから。俺はそいつらを守んないといけない」そう言って関係性を切ったことはあるね、昔。限界に達したんだよ。

 

――人として譲れない部分というと。

 

よく言うのは3つだね。

「人を裏切るな」

「思いやりを持て」

「何回も同じことを言わせるな」

裏切るなってのは、信頼だよね。思いやりも大事、神経を使えってこと。それから3つ目の「何回も同じこと~」てのはさ、言う側が悲しくなるじゃん。怒りたくないのに怒んなきゃいけないこの状況って何なんだよって。一回言ったら分かってほしい。なかなかそうはいかないけどね、人は個性ってあるから。でも、何度言っても分からないってことは、俺の言葉は右から左に流されてた、舐められてたんだなって思う。真剣に変わろうとしていないんだな、こいつって。それなら違う人生を今後歩んでくれよ、と。

生きてるなら、人って目標を持つだろ? でもこの3つの感覚が違うってことは、俺とは“人生を描く色”が違うんだなってことだよ。

 

 

 

――“人生を描く色”。どう生きるかを真剣に考えていらっしゃいますね。反対に、死について考えることもあるのでしょうか?

 

めちゃくちゃありますよ、常にです。

人って死んだら燃やされるじゃん、800度以上の熱で。相当の熱さだよ。フライパンでも80度とかでしょ。熱いよ。髪の毛なんて一瞬。凄まじいよね。圧倒的だよ。

最近は周りで死ぬ人間が多くなってきたから、みんなに「健康第一!!」って声をかけてる。ウルサイくらいにね。人間ドックに行ったから病気になりません、ってわけじゃないけど最低でも年に一回は人間ドックに行けよ。それでも病気になったら運命として受け入れるしかないかなと思うけどさ。行けって言ってんのに行かない奴がいるんだよ。人間ドックに行かないで酒代でバンバン金使ってる。アホか! 行け、オラァ!!

……ね? だって健康第一だから。実際俺はそうして何人か助けてるよ。「力さんに言われて、人間ドック行ってみたらガンでした。早期だったから助かりました」なんてね。俺のおかげじゃねーか、この野郎!!(笑)

 

――自分の体のことだけでなく、周囲の人の健康も気遣っていますね。並々なみなみならぬといいますか、抑えられないようなくらいの熱量で。

 

俺の親友が、肺ガンで死んだんだよ。

俺のあだ名ね、船長っていうんだけど。カラオケで演歌を歌ってる俺の姿を見たその親友が「マグロ漁船の船長みたいっすね」って言ったのがきっかけ。キャプテンじゃなくて船長(笑)。

その親友は末期の肺ガンになってね。臓器って体の内側でいくつも重なってるから、ガンになってもなかなか分からない、見つけづらい。ずっと腰がいてぇって言ってたんだけど、発見された時にはもう長くないと宣告された。泣きながら、「娘の花嫁姿が見たかった、それが悔しい」とさ。

んで、俺に言うわけ。「船長、タバコやめてください。俺みたいにならないでください」って、泣いて土下座しながら。自分が死ぬって宣告されているのに、人の心配するんだよ。……侍みたいな男だった。それで俺は「分かった、タバコやめる」って約束した。それから15年、俺はタバコは吸ってない。

その親友のことを歌ったのが『桜のように』。アイツのことを考えながら俺が詩を書いた。その歌で俺は演歌歌手デビューした。アイツが死んだのは1月だけど、なんで歌では桜かっていうと……、散骨ってあるじゃない。

彼は死ぬ前に自分の骨を海に撒いてほしいとご両親に託した。それだけをお願いしてた。マンションや保険などの整理は死ぬ前に全部自分でやっていた。

精神的に強い奴なんだよ。泣いたのも一回だけ。手術して声が出なくなってからも、喉ひゅーひゅーぜーぜー言わせながら「せんちょう! きょう、カレーつくったんで、たべていきませんか」なんてさ。体がデカくて、強くて、心優しき男。弱気を助け、強きを挫く。みんなからもすごい慕われてた。

だけど結局、死んじまった。最期、お母さんに残した言葉がさ、酸素吸入器を外して「もう、いいよ」だったらしい。頑張ったんだよね。3、4か月しか生きられないって宣告されてから、2年以上闘い続けた。まだ認可されていない薬の投与をしてみたり、少しでも長く子供の顔を見たいから。すごい精神力だよ、マジで。弱音を一切吐かなかった。

治療のための通院も一人きりでしてさ。その気持ちは俺にもわかる。人に迷惑かけるのが俺もアイツも嫌いだから。人生における貴重な時間を自分のために使わせるのが忍びなかったんだろうな。

ガンのことだって友人や親戚にも言わなかった。父親と兄弟と、俺にだけ。「仲間には内緒にしててください。自分が死ぬまでは」って頼んできてさ。あれは俺、しんどかった!! みんなに「最近、連絡とれないんすけど? どこで何してるんですかね」って聞かれても、「あれだよ、なんか、海外かなんか、あれだよ、旅してるらしーぞ、ヒッチハイクみたいなのでよ。放浪の旅に出るって言ってたわ」って誤魔化してたけど、キツイよ。

喉まで出そうだった。『あいつは今、苦しんでるんだよ!』って。でも約束してるから――。黙ってるのは本当にキツかった。

遺言通りに骨を海に撒いたとき、白い骨が……、こう、桜の花びらみたいに綺麗だったから『桜のように』ってタイトルを歌につけたのよ。それに、桜の花びらのようにアイツの心は純真で綺麗だったしね。

 

 

――男気で人生を生き切ったような方ですね。

 

そう。奴の為にも頑張って生きようと思ってる。それから健康に気を付けるようになった。人間ドックに行くようになったし、血液検査も定期的に行ってる。

以前は俺、肺気腫の一歩手前って言われてたからさ。気を付けるようになったよ。アイツがタバコをやめさせてくれたんだろうね。そういうキッカケがないと俺もずーっと吸ってただろうよ。それでも何が降ってかかるか分からない。

 

――生きている限り、これからも人生は続きますからね。今後、力さんはどんな展望を抱いていらっしゃいますか?

 

演歌だね。紅白? そりゃ、オファーが来たらもちろん受けるよ!

演歌はね、全部を作詞作曲してるわけじゃない。ものによる。カバーすることもあるね。この間発売した『恋月夜』は配信ドラマのテーマ曲したけど、あれもカバー。飲み屋で飲んでたら有線で曲がかかったその瞬間。

「ぬぁ!?」って衝撃が走って、ブワーッ!ズァーッ!って魂に響いて、「これは俺が今、構想している配信ドラマにぴったりだ!!」と思ったから、誰の歌か調べた。翌日改めてちゃんと聴いたら、歌詞またドンピシャ。そこからアーティストの方にコンタクトをとって、是非テーマ曲としてカバーさせてほしいと頼んだんだ。その人は楽曲提供をかなりやってる方でね。快くOKもらえて、『闇の法執行人』と『大馬鹿代』のドラマに使わせてもらったのよ。

 

 

――力さんはロックなイメージでしたので、『恋月夜』のしっとりとした路線が新鮮でした。

 

歌手活動は以前、エイベックスでやらせてもらった。世間のォ~♪ 波に揉まれて沈み掛ァ~けるゥ~♪とか。『魁! ミッドナイト』って曲。自分が東京に出てからの下積みの頃を詩にした。その詩を読めば、竹内力の20代そのまんまを感じ取れる(笑)。

 

――バイト合コン躁(はしゃ)ぎつかれた~♪

 

そうそう!〆は文無~しィ~♪♪ そういうところから歌の道はきてるね。

ま、俺には矢沢永吉さんみたいな歌の才能はないんで、演歌というか、「ニュー演歌」と自分で称してんだけど(笑)。これから力を入れていきたいのは、ニュー演歌。フォークとかムード歌謡も好きだから、そういうのが混じり合ってるというかね。

ド演歌はホントの演歌歌手じゃないとね~! 歌唱力がないと、ド演歌は。本物の演歌歌手って、歌唱力がすごい!それは確実に。

でも、俺は俳優だから魅せるのに力を入れてる。楽曲自体は確実にいいものなんで、それをどうやって売るかって所。CDが売れない時代だから、そこが非常に難しい。

 

 

――ニュー演歌でも、“感動”のエッセンスは、やはり必要ですか?

 

俺はそもそも感動作が好き。で、歌ではどうかっていうと……。とにかく、“共感”してもらえることだね。みんなが感情移入しやすいように。感情移入してもらえるとありがたいな。エイベックスで出していた歌は応援歌が多かった。自分に対しての応援歌でもあるし、みんなに対しての応援歌でもある。

共感っていうと色々な形があるよね。起業家仲間と酒を飲んでる時も、俺は自分の意見をバシッと伝える。頭のいい、凄いやつらに対してもそこは変わらない。俺なんかそこではそれほど凄い人間じゃないんだよ、それでも発言権がある、認めてもらえてるってことは、似てるところがあるからなんだよ。“人とは違うことをしてきて、俺たちはここまで来た”っていう共通点。

それプラス、俺の変わった発想っていうのか。目のつけ所みたいなものが、向こうからすると勉強になるって言ってくれる。

そういう共通点で繋がってる友達は結構多いね。酔っ払ってる時の立ち居振る舞いも勉強になる。あれだけ飲んでるのにそれでいて周りに気ィ使ってるのスゲーって思う。

あと「力さんって、こういう人なんですね」って分析されることもあって面白いね。自分の力でのし成り上がった社長連中にそういうことを言われるのは刺激になる。

 

 

男・竹内力は、他人への尊敬の念を惜しまない。そうして人が集まってきて、世の中を刺激する大きなパワーが発生する。そんな男の中の男が考える“今を生きる”とは――?

 

 

 

 

 

竹内力氏「野獣の勘で勝負に挑む。人生は一度きり」第1回

竹内力氏「野獣の勘で勝負に挑む。人生は一度きり」第3回

 

衣装協力

O・N・S(ジャケット・パンツ)http://www.onsclothing.jp

PUERTA DEL SOL(ネックレス・リング・カフス)https://www.puerta-del-sol.jp

 

写真:田形千紘     文:鈴木舞

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を生きる、
大人のためのマガジンMOC(モック)
Moment Of Choice-MOC.STYLE

 

PROFILE

竹内 力

日本の俳優、タレント、歌手、プロデューサーである。
所属事務所は自らが設立したRIKIプロジェクト。
身長180cm、体重85kg、血液型A型。
普通自動車免許、大型自動車免許、大型自動二輪車免許所得。
特技はアクション、札勘。
愛称は「力さん」、「力ちゃん」。

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