人生100年時代を楽しむ、大人の生き方 Magazine

50歳では、もう遅い?? 人生100年時代の働き方改革の備えとは?

 

 

超高齢化社会を突き進む現代日本。

このまま労働市場は縮小してしまうのか心配の種ではありますが、解決方法は中高年の人材活用にあり!

今回お話しを伺うのは、転職成功者を続出させてきた人材紹介ベンチャー「CEAFOM」代表取締役社長の郡山史郎氏。

ソニー株式会社などで経験を積み、84歳にして現役のビジネスマンとして活躍中の郡山氏による新書『定年前後「これだけ」やればいい 人生後半40年に差がつく習慣』は、一億総活躍時代に必読の一冊。

まだまだ人生楽しみたいシニアの可能性を引き出すヒントを伺ってきました。

 

 

──平均寿命が延びた分、シニアの働く時間と労働寿命も延びました。

働き方改革、生き方改革の必要性が高まるなか、「50歳」はとても重要なターニングポイントに思えます。

 

まず、人生には前半戦と後半戦があると考えてください。

年齢を重ねるにつれて、後半戦の生き方をしっかりと考え始めなければいけない時代になってきました。

50歳、正確に言うと、40代後半なら考えなくては。40代に入ったら、後半戦の作戦を練るのがよいですね。

 

──50歳になってからでは遅い、というのはすごく頷けます。中高年がどうやって後半戦を生きていくか。

キーワードとなるのが、中高年の転職活動だと思うんです。

団塊の次の世代が大量に退職したら、中高年が大量に市場にあふれる状況が生まれます。

 

これは予想外だったのでしょうね。私が生まれたのが昭和10年。

平均余命が43歳でしたから、まさに人生50年時代。非常に大きな変化が世界中に起きましたね。

医療の発展、食糧事情の改善、社会福祉制度の変化、戦争の鎮静化。すると、人生が倍になりました。

 

 

 

 

──人生100年時代の到来です。

近ごろはこの言葉がよく目や耳に入ってきますが、実感としてはまだ、社会全体にしっくり浸透していないようにも思えます。

 

社会制度は長く生きることに全く準備ができていないのです。日本が典型ですね。特に雇用に関する部分で準備ができていません。

私は人材紹介業をしていますので、その点を強く感じます。

人材紹介業というのは、人生の前半戦のためにできています。後半戦の人にはほとんど役に立たないんです。

人材紹介業の実態を考えましょう。’エグゼキュテイブサーチ’で、一千件以上の求人案件をもっています。

高給、会社の役員などの人材紹介もしていますので、50歳以上の紹介もあります。大体30代、40代、50代で33%ずつという割合です。

60歳以上の求人は皆無に近いです。

 

──郡山さんは2004年に人材紹介ベンチャー企業「CEAFOM」を創業。

以来、多くの人と企業を結び付けてこられました。

現実的な数字で見ると、現代日本の雇用はそういう状況なんですね。

 

それが我々の紹介実績なんです。60代の方の紹介もあるにはありますが、なかなか企業からの注文が来ないという状況があります。

「こういう方がいまして、とてもいい方なんですよ」と、60歳以上の人材のよい点を具体的に提示して企業に紹介するのですが……。

「60代の人は採用できない」「50歳を過ぎた人は雇いにくい」という答えが返ってきてしまう。

 

──日本はまだ定年雇用がベースにあって、60歳以上の働き方が大きな課題かと思いますが、かなり厳しい状況のようです。

 

需要はすごくあるんですよ。60歳以上の方が活躍する場はたくさんありますよ。

なぜなら現代は、昔ほど肉体労働の仕事ばかりでありませんから。仕事自体が肉体的に楽になっています。

人材紹介業務もイスに座ってできる仕事です。うちの会社には60代の社員がたくさんいますし、高齢者ができる仕事は十分あるのですよ。

 

 

 

 

──体の衰え、体力の低下は大きな障壁にはなりにくい時代になりました。

最近の60代、70代、80代も元気ですし。それでも中高年の転職や再就職が難しいんですね。

 

つまり高齢者が働きやすい環境はできつつあるのです。しかし、働きたい人と働いてほしい会社を結び付ける方法がない。

 

──「人材」とは何かを考えたとき、少子化と超高齢化社会が進む現代で日本の活力を取り戻すには、やはりシニアの活用が欠かせないと思うのですがどうでしょう。

政府も一億総活躍社会を目指していますが…。

 

それには、ふたつの視点からの課題があります。

企業 :中高年の力を活用したいけれど採用の仕方がわからない。

中高年:就職のためのアプローチがわからない

 

──まずは企業側の課題から。

人手不足による経営逼迫は問題視されていますが、中高年の採用はどのような点から難しくなるのですか?

 

雇用コストですね。経営者からすれば、中高年のいい人材は欲しい。しかし紹介料は払いたくない。

紹介料って高いですからね。年俸の30~40%が相場です。年収300万の人を人材紹介経由で雇用したら、100万円はかかります。

「CEAFOM」に人材紹介の依頼に来る会社は、ほとんど大きい会社ですね。少なくとも何百人規模の会社が多いです。

人手不足の会社はたくさんありますが、なかなか人材紹介会社に依頼しないということは多くみられます。

経営者が会社近場の居酒屋で「人がいないんだよ。困ったなぁ!」と話をしていらっしゃるとは思うのですが……。

雇用システムとして、紹介会社に依頼して人を集めるという制度がまだ浸透していませんね。

 

 

 

 

──経営者の意識や経営状況が、現実の人材市場とマッチしづらいのかもしれません。

 

雇用したいけれど、実際に支払う給料をあまり高額に設定できないという企業も少なくありません。

「こんな給料で呼び込んでも、ウチみたいな小さい会社に来てくれる人はいないでしょ」と求人を諦めがちです。

しかし、働きたいという中高年はたくさんいるんですよ。

 

──郡山さんとしては、働きたい人と企業を結び付けたいところですよね。

 

人材紹介会社としてのコストも難点のひとつです。

企業側の「こんな人材がほしい」というあらゆる要求に丁寧に応えていくと、時間的なコストがかかります。

若い人材の紹介ですと、時間的コストが小さくなります。人材紹介会社はどちらかというと、若い人を大量に動かして利益を出しています。

採用する側から出される条件にはできるだけ応えたいですしね。

「信用できる人がいい」などの条件を満たすことは難しく、時間がかかります。

人材紹介会社は、若い人のサポートに力を入れがちです。

そのため中高年の方は、どこに相談すればいいか判断に迷ってしまいます。

企業と人、この両者を引き合わせる環境が十分でないのが今の雇用制度です。

 

──若い世代との比較でいくと、中高年は社会経験がありますし「会社のために働こう」という意識が強い人が多いように感じます。

 

会社へのロイヤリティですね。人は年齢を重ねると、段々と自分本位ではなくなってくるようです。

社会経験があり、仕事ができて、肉体は元気。中高年はいいことばかりですよ。

「年寄りは頑固で言うことを聞かない」というような従来の中高年像から変わってきています。

ワガママ、威張る、扱いづらい。こういう中高年は減っているんです。

もっと言えば、職場における年齢差はあまり感じなくなってきていると思います。

会社のなかでも、従来のような体育会系の年功序列は少なくなってきていますね。

 

 

 

 

──今の60代はバブル崩壊、年功序列の崩壊をリアルに体験してきた世代。

柔軟性を持ち、若い世代とコミュニケーションがきちんとできていますよね。

 

年をとったからこそ威張れない、というのもありますよね。

年功序列の崩壊が身に沁みついていますから。非常に活用しやすい人材なんです。

それなのに中高年が採用されない理由は何か。それは企業が「60歳定年制」を守りたいからです。

60歳で辞めさせるという条件で雇用してきましたから、今さら60歳以上の人材を雇用してしまうと、それまで築いてきた会社の秩序を乱してしまう。

そこを懸念しているわけです。

 

──根が深いんですね。団塊の世代が新鮮な労働力として採用されたときの制度が、変革なきまま残ってしまい、現代の求人雇用制度がうまく機能しないとは。

 

完全に当時の制度が残ってしまっています。さらに企業の上層部が「会社の若返り」を呼びかけます。するとますます高齢者を採用できない。

 

──その「会社の若返り」って実際にどんな目的があるのでしょう。

人材を若くしたからといって、会社が本当にリフレッシュされるのでしょうか。

 

企業の若返りの狙いは大きく分けて2つ。

・モチベーションアップ

・自分への弁解

モチベーションアップは、若い人のためですね。

それから自分への弁解というのは、60歳を過ぎた役員が会社に居続けるときの「若い者が成長するのを待って、自分は引退したいんだ」というポーズです。

こういう傾向がどうしてもありますね。

 

 

 

 

──経営者側の本音ですね。

 

こうした要因があいまって、求人は若い人へと集中してしまいますね。

役員の求人でも40代が求められています。

「55歳ではダメです」という企業の多いこと。

見当違いの条件を注文して求人しようとする企業は実にたくさんありますよ。

 

──まずは企業側の意識改革が必須だと思えてきました。

企業側の雇用意識が変わったら、労働市場がダイナミックに動き出しそうです。

 

雇用環境は変わってくるでしょうね。ただし、大企業はまた異なります。

大企業は人が多すぎて、中高年の人材を入れにくい。

若い人であれば伸びしろがあるということで、大企業に入社しても現場で働くことができます。

ですが中高年の人材は管理部門などに集まってきてしまいますので、なかなか……。

つまり、昔につくられた人生前半戦のための制度が、後半戦の仕事探しに悪い影響を与えてしまっているのです。

個人と企業だけではなく、政府がこのあたりの制度を変革してくれるよう期待しています。

 

──政府も一億総活躍時代を提唱していますからね。

 

制度や法律の改革も効果的だと思います。

50歳以上の人材紹介は、人材紹介業の制約から外す、とかね。しかしそうなると我々の業界は困ってしまいますが(笑)。

それでも現状の制問題点をこのままにしておくのは、あまりにも中高年の人材がもったいないですから。

中高年が自由に仕事を探せる環境が構築されていってほしいと私は考えています。

 

 

 

シニアを取り巻く雇用状況の課題には、人生後半性を生きる人のための採用システムの未整備という構造上の問題があるようです。

解決のためには企業と個人、双方の意識改革が必須。

インタビュー第二回では、改めて考えたい中高年が発揮できる労働力の価値について深堀します。

 

写真:稲垣佑季 文:MOC編集部

 

 

 

 

シニア労働力は企業にとってのメリット大! 自分の市場価値を知り、自信を持って働き方改革に進め!!

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を楽しむ、
大人の生き方マガジンMOC(モック)
Moment Of Choice-MOC.STYLE

 

PROFILE

郡山 史郎

一橋大学経済学部卒。伊藤忠商事入社。化学品部で営業担当。
ソニーに転職。欧州駐在員、米国駐在員,通算12年。現地販社の立ち上げを行う。米国シンガー社勤務8年。日本代表ほか六社の責任者。全社黒字経営。ソニーに復帰して、情報機器事業本部長。経営戦略本部長、一般地域統括本部長、資材本部長、物流本部長など歴任、常務取締役。
全社での年度最高業績の事業責任者に与えられる社長賞を4回受賞。映画会社のM&A担当。ソニーPCL社長、会長、リーディングエッジ社社長、歴任。いずれも好業績を残す。CEAFOM社創立。

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