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境界を飛び越えて、人類の多様性を守りたい。高須克弥氏インタビュー【第2回】

 

 

「言いたいことを言えない世の中」の背景に漂う、徹底的な批判や自粛ムード。言語は人間の進化にとって重要な起爆剤でしたが、今や言語の力はどことなく弱くなっているかのよう。高須先生はどんな心構えをもって、現代の言論空間に立ち続けるのでしょうか。

 

 

――著書『炎上上等』を通して「言いたいことを言えない世の中」に一石を投じているようですが、国内の言論空間をどのように感じていますか?

 

こんなに言いたい放題だと「身の安全は大丈夫ですか?」と心配されることがあるけど、僕は年寄りだから怖いものはない。かかってこいや!って感じ。前にも僕はこういうことを言ったけど、炎上したよね。

僕はいろいろなところから呼ばれて講演をすることもあるけど、心配になった主催者側が突然降りることもあった。呼ばれたから会場に行ったのに「間違いでした」と断られる。僕は退かないよ。「呼ばれたから来たんです」って闘う。時々あるんだ、こういうこと。

あぁ、百田尚樹さんの講演会(2017年に大学で予定されていた百田氏の後援会が急きょ中止となった)ね。断られたって、呼ばれたんだから講演すればよかったのに。辻説法してみたらいいじゃない!きっとたくさん人が集まるよ~。

人間って多様性があるものでしょう。右とか左とか分けたがるけど、左翼上がりの右翼って多いんだよ。敵のことをよく知っているもんだから、寝返ったときにすごい力になる。

宗教ではどうかな。左右にわき目も振らず、一心不乱に南無阿弥陀仏を唱えるのが偉いと考える人たちがいるよね。それはそれで悪くないよ。だけどほら、阿弥陀如来以外に大日如来もいるし釈迦如来もおられる。いろいろなものを取り上げてうまくやっていこうじゃない・・・・・と僕が提案しても「ダメ!」と拒絶されちゃうけどさ。

 

 

 

 

――高須先生は自分の考えを明確に表明し、人との対立を辞さない姿勢を持っている一方、多様性を大事にされているんですね。

 

ダライ・ラマにお会いしたとき、宗教の多様性について尋ねてみたことがあるんだ。ひとつの考えしか認めないのはなぜでしょうって。「そういう考え方は間違ってはいません。けれど、象の踵だけを見ているようなもの。どれかひとつが全てなのではありません。もっと広い宇宙に仏の世界があるんです」と仰っていた。きっとそういうことだよね。

ただし、ものごとをすんなりと理解できない人もいるでしょう。だから大乗仏教が求められるんじゃないかな。大乗仏教は落ちこぼれでも誰でも、み~んなを大きな船に乗せてあげる仏教だもん。対して、選ばれた人が修行して即身仏になるのが密教。
落ちこぼれを拾うための学校と、偏差値の高い学校。両方あってみんなが喜ぶよね。南無阿弥陀仏と唱えてさえいれば極楽へ行ける宗教、名前さえ書けば入試に合格する学校。
そういう学校の入学金ってものすご~く高額なんじゃないかな。みんな、どう思う?

 

 

 

 

――「YES!高須クリニック」で有名な美容整形外科医であり、医者に僧侶にフリーメイソンとしての肩書もお持ちです。活動の幅が広い……広すぎる!!かなり精力的に世界中を飛び回っていますね。それぞれの肩書が矛盾して衝突することはありませんか?

 

クリニックの白い制服を着ていると、中華料理屋に見えるみたいで「ホイコーローひとつ!」なんて風にも言われちゃうけど(笑)。僕は浄土真宗の僧侶であり、フリーメイソンの役員であり、ダライラマの弟子でもある。左だ右だ?う~ん、そういうことを飛び越えて、僕はいろんなものを取り入れているの。
たとえば医者と僧侶。このふたつは支配領域が重なっていないんだよね。死者は僧侶が担当し、聖者は医者としての僕が受け持つ。
それとフリーメイソン。この組織に入れる人間は、宗教を持っている人。「〇〇教を信仰していなければ入れません!」というわけじゃない。だから共産主義者は入れないってわけ。中国にはフリーメイソンの機関は上海一か所だけにしかないでしょう。あそこは中国人ではなく、宗教を信じている外国人によるフリーメイソンの拠点なんだよ。

 

 

 

 

――『炎上上等』で興味深いのが、フリーメイソンの定款と日本国憲法が似ているという先生の見解です。

 

フリーメイソンの会員になったら暗誦しなきゃいけない定款があるんだ。古い英語による原文は立派なものなんだけど、日本語に訳されたのはなんか変。ボキャブラリーが少ないと変になるんでしょうね。日本国憲法の制定にはGHQ草案が関係してるでしょう。英語を訳した人が同じような人なんじゃないかな。何言っとるんだって感じの文章なの。

たとえば日本国憲法の第21条って奇妙じゃない?「①集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とあるけど、どう受け止める?

それにさ、言論や出版の自由を謳いながらエロ漫画を取り締まるってどういうコト?そんな取り締まりは憲法違反だとして闘えばいいんだよ。発禁本なんて憲法違反でしょう。「出版の自由を認めろ!発禁本ザ・ベスト」っていうランキングを作ったら面白いかも!

憲法第9条の議論だと、自衛隊が軍かどうかをあーでもないこーでもないと言ってるよね。エロ漫画は出版にあたるかどうかに置き換えて考えてみたら?印刷機にかけて本屋で売っているんだもん。そりゃ出版でしょう!

 

 

 

 

――憲法9条についてそういう見方をされるとは。2017年は北朝鮮のミサイル問題で日本が揺れました。一方で、有事に対する危機意識の希薄化が浮かび上がった側面も。こういった世の中をどう見ていますか?

 

ニュースが自由化されていなくて、統制されたものになっちゃってる。事実を知りたいならネットで情報を得る方がずっといいよ。

だって、新聞を読む気にならんもの。朝刊を開いても、知らないことが書かれていない。テレビもズレてる。僕はツイッターをやっているでしょ。僕がつぶやいた情報が新聞より早いなんてことも結構あるよね。ネットの方が早いんだから。

でもエイプリルフールにはだまされちゃった!「ダライラマ来日」っていうネット上のフェイクニュース。ダライラマが空港で出迎えされてるかのような、合成画像付きでさ。うまくできたフェイクだったよ。ダライラマが来日してもメディアはあんまり取り上げないから、ネット上だけで飛び交っている点がホンモノらしく思えたの。一国の首相の来日だと、大なり小なりマスメディアに取り上げられるんだよね。

 

――高須先生は国外でも活動されていますが、世界情勢の動きを肌で感じることがありますか?

 

日中関係でいえば、ダライラマと仲良くしていると中国からは国家破壊分子と見なされちゃう。中国共産党にとって、ウイグルとチベットと台湾の独立運動は明確な敵ですから。

僕と中国はもともと関係は深かったんだよ。中国には美容外科の弟子がたくさんいるし、

中国美容外科学会の論文審判委員にもなってる。毎年、クリスマスカードが山のように贈られていたんだ。でも、ダライラマと僕のツーショットが公開された途端、一通もこなくなった。電話一本もかかってこない。中国では、僕は死んだことになってるんだろうね。僕とコンタクトを取ったことがバレたら失脚しちゃうから。

 

高須院長秘書永峰さん:「院長は海外に行くことが多いですが、中国でトランジットしたら間違いなく捕まりますよ!」

 

 

 

 

――凄いことをサラリ且つカラリと仰いますね……!危険に身を晒しながら、ギリギリの発言を続けるのはなぜでしょう。

 

チベットの現状はひどいものなんですよ。あれはもう民族浄化です。チベットの男性は断種を強いられ、女性は結婚するなら漢民族とでなければいけない。

このままいくと「チベット人は珍しいな~」って、客寄せパンダやニホンオオカミみたいにされちゃう。日本のアイヌやオーストラリアのアボリジニ、先住民族ってそうされてきたじゃない。

世界中でもトップレベルの非常事態。でもそんなチベットの現状は、なかなか報道されないよね。日本のマスメディアは中国に忖度しているんじゃないの?経済とか政治が繋がっているもん。

ダライラマの誕生日のお祝いの席に、亡命政府の人たちが集まったんだ。だけど日本にあるチベット政治連盟からは一人も来なかった。参加したら票が逃げちゃうから。支持者は必ず中国との繋がりがあるもんね。特に輸出入とかビジネスに関するコネクション。中国に目を付けられると商売にならない。僕だって中国の学会と繋がりはあるけど、商売の繋がりはないからヘーキ。

それにしても日本人って、中国や韓国には敏感に反応するよね。近くにいる国のことは気になっちゃうものなのかな。

 

 

 

 

――中国、韓国とは歴史的にも繋がりが深いからでしょうか。日本の歴史についてはどうお考えですか?

 

僕の感覚でいうと、戦後十年くらいから日本の教育が変わったなぁと思う。文部省や日教組が

新しい方針を掲げても、教育現場の先生一人ひとりはすぐには頭を切り替えられないでしょ。だから戦後、愛国的な先生はまだたくさんいたんだよ。
僕が子どもの時、家庭教師にこう教わった。「東条英機は偉い人だ。東京裁判で絞首刑になった人たちが日本の基礎をつくったんだ。彼らが言い訳せずに全部の罪を背負ってくれたおかげで、その後の日本がある」
岸内閣もそうだよね。あの頃は「岸を倒せ!」という声が世の中を揺らしていた。でも「岸はこのあとの日本の礎になる」と、僕の歴史の先生は教えてくれた。その先生はみんなの中でひとり浮いてたけどね。
東条英機を悪い人だとするのは、僕の信条に反する。大日本帝国はたしかに悪いところもあった。でも100%がダメだったわけじゃない。戦争に負けたことで、「全て悪い」という決めつけの風潮が起きたよね。だけどもし日本があの戦争で勝っていたら、原爆を落とした側が裁かれているのは間違いない。東京大空襲やドレスデン爆撃が人道に反する罪であるのは明らかだ。

だけど戦後からずっと勝利国、敗戦国の図式のまま、今も世の中が動いている。日本の企業は今や、中国に相手してもらわないと成り立たない。

高須クリニックはそんなことないよ。中国人でも韓国人でも北朝鮮人でもウェルカム!

 

 

高須先生の発言は、炎上しながら賛否両論を巻き起こす。それはつまり、人間の多様性を刺激しているということかもしれません。相対する考えだって、両方あればみんなが喜ぶ。その上で、正しいことは「正しい」、間違っていることは「間違っている」と発言するのが高須先生のスタイルです。インタビュー最終回では、高須先生から贈る次世代へのメッセージを公開します。

 

 

 

写真:田形千紘     文:鈴木舞

 

 

 

 

YES!炎上、NO!欺瞞。言いたいことを言うのが僕だ。高須克弥氏インタビュー【第1回】

若者よ、君たちを信頼してる。ジジイたちよ、世の中の役に立とう。高須克弥氏インタビュー【第3回】

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE

高須 克弥

日本の美容外科医。医学博士(昭和大学、1973年)。美容外科「高須クリニック」院長。
愛知県生まれ。東海高校、昭和大学医学部卒業。同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。「脂肪吸引手術」を日本に紹介し普及させた。江戸時代から続く医師の家系。格闘技K-1のリングドクターとしても活動している。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。藍綬褒章を受章。

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