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セレブの常識 更年期にはナチュラルホルモン補充療法。河村優子医学博士インタビュー 【第5回】 

 

 

更年期治療のひとつとして、女性ホルモンを補充する方法があります。一般的に知られているのは、保険適用の婦人科で行う合成女性ホルモンを補充する療法ですが、人の身体の構造式に合ったナチュラルホルモンを補充する治療もあります。1990年代にアメリカで大きな若返りの効果をあげ注目を浴びたホルモン療法ですが、2003年に合成ホルモンの「乳がんに関するリスク」が発表されると一時的に熱は冷めましたが、ナチュラルホルモンの安全性と効果が評価されるようになった現在では、多くの有名人やセレブたちがナチュラルホルモン療法を受けています。

渋谷セントラルクリニック院長の河村優子医学博士に、ホルモン補充療法に関して教えて頂きます。

 

 

更年期の検査の代表的なものは、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの数値の検査です。

年齢と採血検査、問診による症状などを総合的に診断して、ホルモンを補充するかどうかを決めます。

プロゲステロンの数値に関しては賛否両論あります。生理周期によって、プロゲステロンの数値は上がったり下がったりしますので、実際に検査しない先生もいらっしゃいます。そこで、唾液の検査や尿検査でプロゲステロンの値を見ている先生もいます。

他にも女性ホルモンを分泌させる司令塔のような働きをするホルモンのLHとSHの値も参考になります。1年間生理がなく、エストロゲンの値も低く、LHの値が2桁の数字になると、閉経という診断になります。

また、年齢を重ねると、成長モルモンも低くなります。

更年期対策を考える際に、エクササイズや食事は重要です。成長ホルモンの分泌に関係してくるのです。

 

──エクササイズを行うと、不足しているホルモンの分泌を促すのですか?

 

それもそうですし、ホルモンの感受性も良くしてくれます。つまり効きやすくなるのです。

 

──エクササイズをすると爽快感を得られるからなのでしょうか?

 

それもあるとは思いますが、アドレナリンが出ることも影響しています。

『プチうつ』のような気分が落ち込みがちの方が、週3回運動をすると調子が良くなるケースが多いですから。

基本的に週に2回、約1時間の運動することをお勧めしています。有酸素運動と筋肉トレーニングをバランスよく組み合わせると理想的です。

トライアスロンなどの激しい運動は、体を酸化させます。体の酸化ストレスも検査で測ることができます。酸化ストレスの値が高い方は、お酒・タバコの量が多い、または『がん』を患っている、もしくはピルを常用していという方が多いですね。

他にもDHEAというホルモンがありますが、睡眠薬を常用していた方は値が低い方が多いです。

 

──更年期の症状のひとつとして、「眠れない」というものがありますから、睡眠薬を飲まれている方は多いのではないでしょうか。

 

そうですね。特に男性の更年期の方は多いですね。

参考までに渋谷セントラルクリニックの統計から導き出した、男性の更年期の症状ベスト3をお教えします。

 

1位 眠れない

2位 やる気がない

3位 汗をかく

 

 

 

 

──そうなのですね。男性の更年期は自覚していらっしゃらない方も多いと思います。更年期とは知らずに、睡眠薬を常用している方もいらっしゃいますよね。

 

そうですね。実際に、睡眠薬を飲んでも効かないという方も多いのです。そういう方の中には、男性ホルモンを補充すると症状が改善するという方もいます。

すぐに元気になるわけではありませんが、クリーム状の男性ホルモンを補充すると違いが出てきます。

男性は女性とは違い、更年期に影響を与えるホルモンの種類が少ないので、分かりやすいですね。女性の更年期の不調は、他のホルモンや栄養とも関係してきますし、女性ホルモンも2種類ありますから難しいのです。

 

──更年期の辛い症状は、ホルモン補充をすると楽になるのでしょうか?

 

はい。楽になります。

女性ホルモン補充にはバランスも大切です。エストロゲンが不足すると、骨粗鬆症が進みやすくなり、心筋梗塞のリスクが高くなります。40代位迄は、男性の方が心筋梗塞でなくなる方が多いのですが、55歳以降になると女性も心筋梗塞で亡くなる方の割合が高くなります。

日本の産婦人科学会では、更年期症状があれば5年間はホルモン補充をした方が良いと言われています。ですが、それ以上ホルモン補充を続けると、心筋梗塞のリスクが高くなるというデータがありますので、ホルモン補充を行うタイミングも重要です。閉経して10年以内に5年間位ホルモン補充を行うと良いですね。70歳位でホルモン補充することが可能な方もいらっしゃいますが、基本的にはエストロゲンの補充はしません。

エストロゲンが優勢になりすぎると、太りやすく、むくみやすくなり、偏頭痛が起こる方もいます。そして、乳がんのリスクもアップします。

栄養面も大切です。まずはご自身の身体の土台をしっかり固めておいて、エストロゲンを補充すれば、少量の補充で済むかもしれません。

 

──ホルモン補充療法は、その方によって補充する量が違うのですね。

 

補充するホルモン量は、人それぞれ違います。渋谷セントラルクリニックでも、エストロゲンのナチュラルホルモンは量の違うものを用意しています。年齢が高いからといって量が多くなる訳ではなく、その方の症状によって補充するホルモン量を調整しています。問診に加え、検査も行えば、ホルモン補充の適正な量を知ることができます。

 

──自分では「かなり辛い」と思っていても、「病気ではないのだから我慢しよう」と思ってしまっている方も多いのではないかと思います。

検査を受けて「ホルモン治療を受けた方が良い」という目に見える数値が出るのであれば、家族の理解も得られますし、ご本人も安心して治療を受ける事ができますね。女性はついつい、自分のことは後回しにしてしまいがちですから。

 

ホルモン治療は効果があるだけに、安易に行ってはダメなのです。リスクを理解した上で、その方にとっての適量を補充する必要があります。

90年代にアメリカで成長ホルモン補充療法が流行しました。見た目も若々しくなりますが、筋肉が作りやすくするのでダイエット効果もあります。当時は注射での成長ホルモン補充療法でしたが、最近は飲むタイプのものも出回っていますが。

 

──飲むタイプの成長ホルモンの方がお手軽なのですか?

 

サルコトロピンというもので、実は成長ホルモンそのものではなく、脳下垂体に働きかけて成長ホルモンの分泌を促すような成分のものなのです。

 

──なるほど。だからサプリなのですね。

 

サプリなのですが、飲んでいる方は元気になる方が多いですね。ですが、その方に合った量を知らないで、闇雲に補充してしまう危険性もあります。また、海外から個人輸入するサプリメントの安全性も疑問視されていますので、注意が必要です。

きちんと医師の診断を受けて、その人に合った量のホルモン補充しないと肝臓などに負担がかかる場合があります。

 

──男性で更年期かなと思われる方は、このような成長ホルモンを補充すると良いのでしょうか?

 

男性だけでなく、女性にも良いのです。

女性の更年期のホルモン治療の中で一般的なのは、女性ホルモンの補充です。先ほどもお話ししましたが、エストロゲン補充は更年期症状の改善だけでなく、心臓疾患や脳梗塞の予防にも効果があります。最近ボケたくないという方が多いですが、記憶力維持やアルツハイマー予防にもなるのです。

もう一つの女性ホルモンであるプロゲステロン補充は、分かりやすく言うとエストロゲンの副作用を軽減する働きがあります。よく眠れるようになったり、抗うつ剤となって不安を取り除いてくれます。

ホルモン補充する時には、必ず両方一緒に補充します。エストロゲンだけ補充するというのは、当クリニックではありえません。

 

 

 

 

──両方一緒に補充することで、ホルモンバランスを整えるのですね。

 

ホルモン補充には、ナチュラルホルモンを補充する方法もあります。

合成で作られていない、身体の構造式に合ったホルモンをナチュラルホルモンと呼んでいます。

保険適用で使用される合成ホルモンとナチュラルホルモンは安全性が違いますし、気持ちよく飲んでいただけます。

 

──一般の婦人科でも、希望すればナチュラルホルモンを補充してくれるのでしょうか?

 

ナチュラルホルモン補充療法は保険適用外なので、一般の婦人科では行っていないと思います。

アンチエイジングクリニックや美容クリニックなどを受診すれば、ナチュラルホルモン補充の治療を受けることができます。ナチュラルホルモンは海外で作れれており、輸入するとしても厳しい基準があります。少し前までは、アメリカから成長ホルモンやクリームを輸入できましたが、いまはもう正規のルートではアメリカから輸入できません。現在はドイツやカナダから輸入しています。

 

──以前、男性ホルモンのジェルが販売されているのを見たことがあります。

 

今でも男性ホルモンのジェルはドラックストアで販売されていると思います。ですが、濃度がすごく薄いのです。クリニックでは、10倍位濃いものを使っています。

男性が更年期で泌尿器科を受診して、男性ホルモンが低いと診断された方は処方してもらえるかもしれません。

 

──女性が更年期の悩みを相談するのであれば婦人科に行くように、男性で更年期の悩みがある場合は泌尿器科を受診するのですね。

 

そうです。男性の更年期の場合は、泌尿器科や男性更年期科を受診することになります。

女性の更年期の話に戻りますが、エストロゲンを補充すると乳がんや子宮体がんになると言われていますが、実は誤解されている部分もあります。

WHIの論文で指摘された副作用は、合成エストロゲンのプレマリンと合成プロゲステロンのプロペラの組み合わせのケースで起こるものが多かったのです。

 

──なるほど。このような理由で、合成ホルモンとナチュラルホルモンは安全性が違うのですね。

 

はい。ナチュラルホルモンは、人間の構造式に合った天然のホルモンです。プレマリンはエストロゲンに似せて作った薬です。特にエキリンという馬の尿から作った成分が良くないと言われています。女性ホルモンとはもともと違うものを補充したことにより、乳がんを発症する人が出てきたので、話題になったのです。

保険適用の婦人科で補充する合成ホルモンと、ナチュラルホルモンは全く違います。

 

──心配な方はナチュラルホルモンを補充すると良いのですね。

 

ナチュラルホルモンが絶対に安全かといえば、そうとは限りません。副作用もあります。ナチュラルホルモンのプロゲステロンは、重篤な肝障害や肝疾患になるリスクがあります。これは、合成のプロゲステロンのプロペラでも重篤な肝障害や肝疾患になるリスクはあります。合成のプロペラはさらに、脳梗塞や心筋梗塞など血管性疾患になるリスクもありますので、合成の方がリスクは高いと言えます。

エストロゲンばかりをどんどん補充すれば、もちろん乳がんになるリスクはゼロではありませんし、ホルモンが影響して発症するものもあります。乳がんになると、ホルモンの感受性があるかないかを検査して、影響している場合は女性ホルモンを抑えるようにする場合もあります。その場合は、かなり辛いホットフラッシュの症状が現れる方もいます。

エストロゲンの補充をしなければ、乳がんになる確率が減るかといえば、それは違います。プロゲステロンが乳がんのリスクを減らすとは言われています。

 

──その働きもあるので、ホルモン補充治療する場合は、エストロゲンだけでなくプロゲステロンも一緒に補充するのですね。

 

それもあります。でも、エストロゲンとプロゲステロンをバランス良く補充していたけれど乳がんになる方もゼロではありません。特にナチュラルホルモンは保険適用外のものですから、ちゃんとした説明をして同意が得られた場合に補充をおこなっています。また、さらにリスクを減らすために、最低1年に1回は婦人科系の定期検診も受けて頂きます。

親や姉妹が乳がんの患者産であるようなリスクの高い方には、ホルモン補充する前に遺伝子検査をおこなう場合があります。

男性も同様です。男性ホルモンであるテストステロンは前立腺がんを予防してくれますが、前立腺がんになってしまった場合は進行する場合があるので、テストステロンの補充はおこないません。遺伝子検査をおこない、前立腺がんのリスクが高い方にはテストステロンの補充はいません。

ナチュラルホルモンを補充するメリットは、前述のように副作用が少ないことが挙げられます。上手にナチュラルホルモン補充を行えば、免疫力が高くなり、生活の質(QOL)を上げることができます。

サプリの場合は、カプセルが質の良くない石油製剤などで作られている場合があるので、知らないうちに体に悪いものを取り入れていることもあります。ナチュラルホルモンの場合はそのような心配がほとんどありません。

面白いことに、ホルモン療法は国によって考え方に違いがあります。

ヨーロッパでは夜の生活を楽しむために、ご夫婦一緒にホルモン補充をする方々もいます。奥さんだけ補充すると、旦那様は不貞腐れちゃいます。二人共にホルモン補充をして、ハッピーライフを送っていらっしゃいますよ。

アメリカでは、ホルモン補充する理由は、病気予防がメインになります。心臓の血管が詰まってバイパス手術を行うとなると、医療費が3千万円位かかる場合もありますので、家一軒を失うことになります。そのほうが怖いですので、ホルモン治療をするのです。デトックスやキュレーション治療が中心になります。

日本人の場合は、見た目を美しく保ちたいという方が多いような気がします。

 

──ナチュラルホルモン治療を始めるのは、50代くらいからなのでしょうか?

 

基本的に、私たちは40代以降の方をナチュラルホルモン治療の対象と考えています。若い方でも子宮を摘出されたような方や極端にホルモン値が低い方には、ナチュラルホルモンで治療する場合もあります。

 

──保険適用のクリニックで検査をして「女性ホルモンを補充したほうが良いです」と言われた方が、「ナチュラルホルモンを補充したい」と先生のクリニックを訪れる場合もあるのでしょうか?

 

多いですね。私たちのクリニックにいらっしゃる方で、女性ホルモン補充を希望される方は、ほぼナチュラルホルモン補充を希望されている方です。

 

 

 

 

──最初に受診した婦人科クリニックでナチュラルホルモンを扱っていなくても、多くの方が諦めずに、わざわざアンチエイジングクリニックや美容クリニックを訪れてナチュラルホルモン補充をしていらっしゃるのですね。

ナチュラルホルモン補充にかかる費用のおおよその金額を教えてください。

 

私たちのクリニックでは、最高品質の自然なホルモンを海外の製薬会社から直接仕入れることで可能な限り低価格で治療を続けられるようにしています。

その方の症状やホルモンの状態によって費用は変わります。詳しは検査をしてみないと申し上げられませんが、標準的な方の場合の費用の目安は以下の通りです。

 

更年期の方:32,400~43,200円(エストロゲン、プロゲステロン、甲状腺、DHEAの補充)

男性更年期の方:月々23,760円程度(テストステロンの補充)

機能性甲状腺低下症、慢性疲労の方:12,960円程度(甲状腺、DHEAの補充)

※渋谷セントラルクリニックでの費用目安。変動する場合がございます

 

──他のクリニックさんから、ナチュラルホルモン補充を希望した方に行う検査はどのようなものなのでしょうか?

 

私たちのクリニックでは『アンチエイジング検査』と言っていますが、ホルモンの分泌量から体内栄養素の状態、身体の酸化などを調べてから治療を行っています。

 

第6回では、この『アンチエイジング検査』について河村優子医学博士に詳しく教えていただきます。

 

文:北川りさ イラスト:町田季句

 

 

河村優子医学博士 インタビュー【第1回】  更年期はアンチエイジングドックで総合的な検査を

河村優子医学博士 インタビュー【第2回】  更年期でプチうつ? 実は副腎疲労かもしれません!

体内に有害物質が蓄積されていると、ホルモン療法の効果がダウンする? 河村優子医学博士インタビュー 【第3回】 

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更年期の強い味方!アンチエイジング検査とは? 河村優子医学博士 インタビュー【第6回】 

 

 

編集・構成 MOC(モック)編集部
人生100年時代を楽しむ、
大人の生き方マガジンMOC(モック)
Moment Of Choice-MOC.STYLE

 

PROFILE
河村 優子

河村 優子

河村優子 医学博士
渋谷セントラルクリニック院長。日本抗加齢医学会専門医、日本麻酔科学会専門医、日本レーザー医学会認定医、特定認定再生医療等委員会 委員、FTP認定マットピラティスインストラクター、日本女性医学会会員、加圧トレーニング特定資格指導者/日本キレーション治療普及協会認定医。患者の目線に根差したフレンドリーな診療が評判。

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