幼少の頃から自身に対する深いコンプレックスを抱え、様々な改善法の研究によって社会復帰を果たした吉濱ツトム氏。
現在は自身の経験を生かし、同じ悩みを持つ人々に寄り添う活動をされています。
今回は引きこもりからの脱出について明確な方法論を持つ吉濱氏に、“恋愛的引きこもりからの脱出方法”を伺いました。
吉濱さんは、引きこもりの方々の社会復帰を支援しています。
その活動には、ご自身が傷ついた体験がどのように生きているのでしょうか?
役立っている部分は二つあって、一つ目としてはその人たちの気持ちがよくわかるということ。
ニートや引きこもりって世の中では劣位的な存在で、例えば「5ちゃんねる」なんかでもボロクソに叩かれているじゃないですか。
でも僕は僕自身がそうやってきたし、頑張ったとしてもそうなってしまうその気持ちがよくわかるので、決して否定から入らない。
二つ目はどこまで僕が回復できたかはわからないですけどある程度そこから回復できたのは事実であること。
その体験というのは思いつきではなくて論文などで論理体系化されたものを取り入れての結果だったので、その方法を伝えることができる。
共感と方法論というこの二つによって、引きこもりの人たちの気持ちがある程度わかったり、あるいは同じ視点に立つことができるのかなと。
例えば発達障害のことがわからない人に発達障害の苦しさを話したところで「そんなの誰にでもあるじゃん」「気にしすぎ」「甘いんだよ」って一蹴されておしまいなんですよ。
でも僕の場合は発達障害で苦しんだから、その気持ちを言われたらよくわかる。
その上でこうしていこう、と深い共感に基づいた対策を立てられる。
今回のテーマである「恋愛」に対して、何らかのコンプレックスをかかえて恋愛に前向きになれないというのは、引きこもりの方々の心理とちょっと近いものがあるんじゃないかなと思っているのですがどうでしょう。
そうですね、共に理由なく劣等感が強い、方法論がわからない、成育歴の中における「失敗体験」が大きい、それが恋愛に向かうか仕事に向かうかの違いだけなんですよね。
だから逆にこの三つを何らかの方法で解決してしまえば、恋愛においても結果を出すということができるのではないかと思います。
私は先生の著書の中ですごくなるほどなあ、とうなずいたのが「心を変えることはできないけども、行動を変えることで心は変わる」という部分なんです。
「どんな行動をすれば、心が変えられるのか」是非伺いたいです。
そうですね、恋愛だったら大きくは五つですよ。
①小手先の技術の習得。
別にしゃべり上手になりましょうということではなくて、少しでも聞き上手のふりさえできれば、多少の会話が続きます。
②恋愛に対しての知識の習得。
男性と女性だとやはりエイリアン同士でわかりあえないじゃないですか。
でも知識があることによって多少は埋めることができるし、そもそも男女間のもめごとって相性云々じゃなくて知識の不足によって起きているところが大きいんです。
よく言われる例ですが、女子は聞いてほしいだけなのに男はひたすらアドバイスする。
それで女子は「聞いてくれない」とブチ切れる、でも男はアドバイスしてあげてるのになんだよとなる。
③外的環境の変化
つまり主に外見ですよね。
人は防衛本能上、見た目で大半を判断してしまうのは致し方ないことなんです。
古代の時代は外に出れば生きるか死ぬかですから、早い判断方法として外見を見るしかなかったんですよ。
それが自分でもわかっているから「外見が整っていない」と自分で思っているならば、それがまた劣等感を加速してします。
じゃあ外見を徹底的に磨けば劣等感は取れるかといえばそれはまた違うんですけど、ある程度変えるだけで違ってきます。
④上記の三つを整えた上での、スモールステップによる成功体験。
⑤心は変えることはできないけども、メタ認知、客観視は変えることができる。
あくまでも「客観的に自分を見つめること」が発動できているかどうか。
それが発動できたならば、トラウマや劣等感というのは無力化することができる。
と同時に(失敗体験の)反芻も抑えることができるから、情緒も安定します。
そして着々と成功体験を重ねることができるので、多少は自信になる。
そして仕事や恋愛における「引きこもり」から抜け出すことができるんです。
スモールステップによる成功体験、これはたとえば、今聞いた中ですと「女性とうまく会話することができた」とか、お互い目を見て話しができたとか、そういうことでもいいのですか?
それでもいいんです。
例えば恋愛にすさまじい劣等感を持っていると、おしゃれな服のお店に行くのも苦痛なんですよ。
でも行くことを耐えることができたことだけでも成功とする。
で、今度はおしゃれな美容室に行くのも苦痛なはずなんです。
おしゃれな美容室でカットしてもらうっていうのも成功体験ですよ。
で、今度はバーに行くとか。
別にそこで女性をお持ち帰りできなかったとしても、バーに行くだけでもいいし、ちょっとで構わないんですよね。
大切なのは、恋愛に向けてどれだけの計画を立てて、努力していくかということなんですね。
でも残念ながら、大半の劣等感が強い人は、恋愛だろうと仕事だろうと異常な完璧主義になってしまうんです。
劣等感が強いがゆえに、反動として完璧な理想を描いてしまう。
そしてそれを、ビッグステップで何の方法論もなくやろうとしてしまう。
それで玉砕しちゃって、「やっぱり俺はだめだ」っていう認識になって、それを永遠に繰り返すんですよ。
うーんなるほど、思いついたように自分の勢いだけで女性にぶつかって行ってしまう・・・。
でも女性側からすれば、自分が盛り上がってないのに勢い込んだ男性が来ちゃうと拒否反応を起こしますよね。
それで逃げられると、やっぱりダメかと。
負のスパイラルですね。
そう、それで結果引きこもる。
で引きこもってしばらくたつと少しは回復するから、それでまた突っ込んで、痛い目に合って、でまたしばらく引きこもって…っていうスパイラルですね。
恋愛するならやっぱり正しい自分のスキルの磨き方が大切なんですね。
はい、もちろん恋愛においては正しい答えはないでしょうけど、最低限の「これをやっておけば外しがない」っていうのはあるじゃないですか。
だからそれをやっておけばいいんです。
具体的には、どんなことでしょうか?
たとえば外見を変えたいなら、服をファッションコーディネーターに選んでもらうとか、これだったら最低限のお金があればできますよね。
これなら別に異性と向き合う必要もないから心理的葛藤もいらないし、こういったことです。
「自分が変化した」というのを実感できること、ということですね。
そうです。
休みの日に一日パジャマでいるのではなくて、ユニクロとかのファストファッションでいいから着替えるだけでも精神的には変化します。
少しの変化を日常的に積み重ねることで人は変わるのですね。
ある程度は変わります。
人が回復していく過程って二つあって、一つが心的回復、もう一つは行動的回復です。
前者に対してはトラウマだとか心の傷を追い求めていくんじゃなくて、ひたすら「自己の客観化」を強化しトラウマを無力化していく。
後者に関しては、行動習慣を細かく変えていくこと。
そういった意味でこのささやかな肯定的変化の連続が大事なんです。
なるほど、あとは誰でも自分に対して自信が持てないっていうのはあると思うんです。
恋愛に踏み出す勇気が持てないという人に対して、「この一歩を踏み出せばあなたは変わるかもしれない」みたいな、アドバイスをするとしたら?
大きくは二つあって、一つ目は「失敗しても人生終わるわけではない」って。
基本的に劣等感が強い人って恐怖心が強いんです。
じゃあ恐怖心はどこから来るかっていうと、防衛本能の発動にすぎない。
人の弱点として、命にかかわらないことであったとしても防衛本能が無駄に発動してしまうんですね。
だから単純にこれは認知的な間違いなんです。
そこで「人生終わるわけではない」っていうことを認識しておけば、怖さは減る。
その上で二つ目、自信は大きな成功によって生まれるのではなくて、さしたる努力もいらない些細な肯定的変化によって生まれるということを肝に銘じる。
自分で段階を小分けにして、紙に書いて、これは構造化っていうんですけど、それを一つ一つこなしていけばいいじゃん、という話なんですよ。
ただ、劣等感が強い人というのは、もともと強い無気力感を持っているのです。
外的な圧力による強制力は必要かもしれません。
うーんなるほど。
「人生が終わる」っていうのは究極だと思います。
究極の恐怖を認識したほうが、その他のことが軽く感じるということなのでしょうか?
「大事故にあったおかげで、色んなことが怖くなくなった」とか、そこまでの体験というのは辛いでしょうけども、それに近い何か。
例えば格闘技でもいいかもしれないですよね。
バンジージャンプとか(笑)?
それもありと言えばありかもしれないですね。
今まで人生で味わったことのない恐怖感を味わうことによって、開き直れる可能性はあります。
ただ、これは万人には勧められないです、パニック障害の人も結構いるでしょうし。
でも荒療治の多々ある可能性の中の一つとしては、あるかもしれない。
劣等感に悩まされ、行動できないという悩みを誰よりも深く理解し、
自身の経験に基づくステップアップ法を持つ吉濱ツトム氏。
恋愛的引きこもりから抜け出すためには、大きな一歩ではなくささやかなステップの積み重ねを着実に行うことが大切と教えてくれました。
人の前向きな変化は、本当にちょっとした行動から始まるのかもしれません。

港区新橋にあるAGA・薄毛専門の医療機関。
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今回のインタビューはAGA治療という薄毛治療を行っている銀座総合美容クリニックさんとの共同企画です。
このクリニックは治すための治療ではなくて、コンプレックスに寄り添って悩みを解決するという文脈で治療を行っているのですが、それに関してはどう思われますか?
その通りですね。
薄毛は、薄毛が問題なんじゃなくてそれによって劣等感が強くなってしまうことが問題なんですよね。
海外はともかく日本では薄毛やハゲに対するコンプレックスが根強い。
薄毛で悩んでいる方は、世間との関係性の中で、深い劣等感を抱えてしまうのではないでしょうか。
しかし、薄毛治療をすることによって、自尊心を回復することができ、情緒を安定させることができるのであれば、大きな価値があると思います。
薄毛治療をすることで、自信を持つことができるのであれば、行動範囲や行動範囲も大きく変わるでしょうから。
そういった意味で銀座総合美容クリニックさんがされていることというのは、単なる治療ではなく、悩みを解決するための活動として素晴らしいものであると思います。
患者さんとゴールに向かって走り続けるという姿勢は、吉濱先生の引きこもりの方たちと対峙される姿勢と共通するものがあるのでは?
そうですね、劣等感が強い人というのは基本的に「変わりたいと強く思いながらも変わることを恐れ続ける」ので、同伴者がいないと現状維持機能が働いて元に戻ってしまうんです。
だから同伴する、伴走者がいることで現状維持を防いで回復していくものです。
そういう意味で二人三脚で治療を行なっているというのは、私と一緒なのだと思います。
銀座総合美容クリニック
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編集・構成 MOC(モック)編集部
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