人生100年時代を楽しむ、大人の生き方 Magazine

人生100年時代、男と女の“思考の逆転”が巻き起こる? 亀山早苗氏インタビュー【第2回】 

 

 

「男の矜持」や「女心」といえば、男と女をあらわすときに使い古されてきた言葉。一方、亀山早苗さんは現代における男女観を、鋭い視点で捉えなおしているようです。特に、ライフステージがシフトすることで受ける影響は、男と女で随分ちがう場合もあるようで……。大人の恋愛を数え切れないほど取材してきた亀山さんだからこそ伝えたい、『恋愛の楽しみ方』とはどんなものでしょう。

 

 

──アラフィフ女性がハジけずに上手に恋愛する方法はあるんでしょうか?

 

初恋の時の気持ちをちょっと思い出してみると良いんじゃないかなと思います。若い頃の恋愛って、ドキドキしているだけで満足だったり、相手にこう思われたら困るとか、ブレーキを効かせているじゃないですか。眠っている記憶の中に、きっと初恋の時の気持ちがあると思うので、暴走しないようにちょっとだけ思い出すようにするとイイですよ。

バレたら困るということを頭にきちんと置いておくことも必要。女友達に『自分の秘密の恋愛話』をしてしまう人がいるんですが、1人に言ったら100人にバレていると思った方がイイです。

 

──嬉しかったことって、つい話したいと思ってしまうんじゃないですか? 

言わないで我慢するのが苦しいから、女友達に言ってしまうのでは?

 

女友達に自分の恋愛話をするのを我慢するのではなく、「この恋愛は私だけで楽しもう!」というように考え方を変化させればイイんです。自分を楽しく誤魔化す術を身につけるべきです。脳は意外とおバカなので、いくらでも自分で騙せます。我慢しなければストレスもたまらない。

「誰かに言いたいけど我慢しなくちゃ」って思うからいけない。「自分だけの楽しみにしたほうが、恋も熟成されて、いい恋愛になるに決まっている!」って思い込むんです。

 

 

 

 

──なるほど! 素晴らしい考え方ですね。

男性はどうでしょう。人に不倫をしているとバレるような行動をとったり、ストーカーまがいのことをしたりしますが、上手に恋愛するにはどうしたらいいのでしょうか?

 

男性は孤独ですよね。家庭に居場所がない。

不倫の取材を始めて20年くらいになるんですが、20年前と今とでは男女の思考が逆転しています。今の男って、すごく味方を欲しがっている。「自分の気持ちを分かってくれる人が欲しい」、「絶対的な味方がほしい」と。

独身女性の場合は、ほぼ仕事を持っていて精神的にも自立しているので、そんなに相手に依存しないですけど、男は年齢を経ると共に女性に頼りたがる。

女性は「恋愛と結婚は別だから」と考える人が増えてきています。昔は男性がよく使っていた言葉ですが(笑)。

逆に、今の男性は「恋愛と結婚は別」とは頭では思っていても、身も心も一つになって自分を分かってもらいたいと思っている人が増えているようです。

 

──会社で充実感を得られない人が増えてきたからかもしれませんね。昔は年功序列社会でしたから、50代くらいであればそれなりのステイタスを持っている人が多かった。今は出向などさせられたり、リストラされたりするケースもあります。会社での自己実現が難しくなっていることも、「分かって欲しい」という男性が増えてきたことと関係があるのでは?

 

出向の挙げ句に転籍させられることも結構あります。かなり絶望的な気持ちになりますよね。家庭でも奥さんや子どもに冷たくされるケースもあるようで、「結局、本社からいらないと言われたお父さん」と思われているんじゃないかと感じて、孤立してしまう。

未だにパソコンが苦手という男性もいるじゃないですか。「やってみればいいじゃん」と女性は思うんですが、意外と男の人は順応性が無い人も多いんですよね。

 

 

 

 

──女性に比べれば、男性は適応能力が低いですね。女性は生物学上、器用にできているんだと思います。転居しても、その土地に馴染むのは女性の方が早いですよね。家族で転居しても、男性は孤立してしまうけれども、奥さんや子ども達は新しい土地で楽しく過ごしています。

 

確かに、女性は、新しいものに慣れるのも早いです。男性側からみれば、こういう孤立した状態で、憎からず思っている女性から好意を示されたら、恋愛に身を投じてしまうのもしかたがないように思いますね。

 

──その「自分をわかってほしい」という承認を妻には求めないのでしょうか?

 

男性が一番怖いのは、妻の不機嫌。家は妻のものなので、私は家のルールに従いますって言っている男性が多いですよね。妻に不機嫌になられるよりは、自分がおとなしくして、何も言われない方がマシだと。自分をわかってもらうにはアピールしなくてはいけません。それは男性にとって「賭け」に近い。妻の機嫌をもっと損ねるかもしれないから。

この状況を打開しようなんて勇気は、男には無いですよ。

 

 

 

 

──20年前に比べて男性が弱くなって、女性がどんどん強くなっているじゃないですか。社会の中で孤立した男になってくると、女性はそういう男に魅力を感じないんじゃないかと。女性は男性に社会的ステイタスとか、仕事に対する情熱に魅力を感じるのでは。

40代以降になってくると、女性に恋愛のイニシアティブがあって、男が恋愛のイニシアティブを握るのが難しくなってきているのではないかと。50代の女性は、実は恋愛の相手が年下だろうが年上だろうが選び放題で、男の方は女達に選ばれることを恋愛の中で競争しなくてはいけないのではないかと思うんですが。

 

可能性はありますね。男性は大変ですね(笑)。

 

──家庭で孤立しなければ、恋を渇望せず、暴走せずにいられるのではないかと思うのですが。例えば、料理ができるだけでも魅力的だと思うのですが、男はそういう努力はあまりしないですよね。

 

家庭がうまくいっていないから逃げで恋愛する人って、だいたい恋もダメになるんですよね。

 

 

 

 

──不倫をするにも度量が必要という中には、家庭も上手く維持しているという項目も入るんですね。家庭も維持しつつ、恋も1年、2年、3年と続けるのは、相当体力が必要ですよね。

 

そうだと思います。不倫の関係だと、どちらかと別れるという話になるじゃないですか。

離婚するのか、彼女と別れるのか、どちらかを選ばなければいけないと思っているんですけど、両方続けていくという選択肢もある。奥さんや周りにバレないように細心の注意を払って、彼女との恋愛もお互いに嫌な気持ちにさせないようにして続けることは不可能ではないのです。

その際、男性がしてはいけないことは、『そこにいない人のことを考えてしまうこと』。彼女と美味しいものを食べている時に、「これ家族にも食べさせてあげたいな」と思うと、すぐ彼女にバレます。家にいる時に、「彼女は今頃何をしているのかな?」と思うから、奥さんにバレるし、傷つけるのです。

女は目の前の人しか考えないから、バレないんです。男性も目の前の女性に100%向き合えばバレづらい。

知り合いに、50代でめちゃめちゃモテる男がいます。モテるというか、自分から誘うんですけど(笑)。ものすごくフレンドリーで、フランクで、なお且つ人の心にスルスルっと入り込むタイプ。一番すごいなぁと思うのは、今目の前にいる人のことしか考えないと、女性に思わせることができるところ。装っているわけじゃなく、根っからの女好きなんでしょうね。50人の女がいたら、それぞれ一人ずつの良いところを全て言うことができるというくらい。依存するということではなく、とにかく女の人といるのが好きという人。マメなんですね。

 

──男性が妻とレストランにいる時に、「これ彼女に食べさせたいな」と思うだけで、女の人は敏感に察するものなんですか?!

 

察しますよぉ! 男性はそんな時は、「心ここに在らず」っていう感じになりますから。

女性は相手を100%で見ているから、微妙な心の動きまで察するです。「今、全然違うことを考えているな」とか。男性は、女性が違うことを考えていても気が付かないかもしれませんが(笑)。甘いですね。

 

 

 

 

──男性は、「頭の中で想像しているだけなら気づかれない」と思い込んでいるんです。

 

女性の感の鋭さを、男性もきちんと知っておくべきです。男性の目の動きとか、いつもとは違う間で返事が来るとかで、女はすぐに感が働きます。

例えば、夫が考え事をしているとき、妻が「どうしたの?」と何気なく聞くとします。その時点では、「他の女性のことを考えている」ということは分かっていないこともあるんですが、夫がどぎまぎしながら「いやぁ、ちょっと仕事のことで・・・。」と誤魔化すようなことを言うと、女は「この人は嘘をついている」って直ぐに分かるんです。そこで夫がなぜ嘘をつくのか、何を考えていたかは、夫の顔や動きを見ればすぐに見当がつきます。

女性は気付いていないふりをしますが、分かっているんです。

 

 

「自分だけの楽しみにしたほうが、恋も熟成されてイイ恋愛になるに決まっている!」というポジティブな大人の恋のテクニックを教えて頂き、感動してしまいました。「女性はつい嬉しかったことを話したくなってしまうもの。バレて困る恋話は、辛いけれど我慢するしかないのだ」とばかり思い込んでいたので、驚きました。こんなところでさえ、世間の常識に囚われていたのかもしれません。

女は誰でも女優。自分の感情を操る素養を皆んな持っているはず。恋話だけに限らず、自慢話や他にも応用できる、素敵な魔法ですね。

そして、男性は「頭の中でやましいことを考えていると女性にはすぐに分かってしまう」と心に刻むべきです。

「目の前にいる女性に100%向き合う」。これぞ、大人の男性の恋の極意です。

 

 

写真:田形千紘   文:北川りさ

 

 

 

 

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編集・構成 MOC(モック)編集部
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PROFILE
亀山 早苗

亀山 早苗

1960年東京生まれ。明治大学文学部卒業。フリーライターとして、女性の生き方を中心に恋愛、結婚、性の問題に取り組む。『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『不倫の恋の決断』『妻と恋人』『渇望』『オンナを降りない女たち、オトコを降りるオトコたち』など、不倫や婚外恋愛に関する著書多数。『渇いた夜』、『愛より甘く、せつなく』などの小説作品やノンフィクション作品も手がける。

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